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1月10日(土)

【思ったこと】

980110(土)
[心理]質問紙型の性格検査を考える(その2)検査のルーツと当初の問題点
 第1回目に続いて、きょうは、質問型の性格検査のルーツと初期の問題点について考えてみたいと思う。
 はじめに、心理学実験指導研究会編『実験とテスト:解説編』(1979)を引用しながら、質問紙型(心理学では一般に「質問紙法」(questionnaire)と呼ばれている)の検査のルーツと当初の問題点について、考えてみたいと思う。まずルーツは、
「質問紙法」(questionnaire)は第一次世界大戦中、アメリカの陸軍で軍隊生活に適さない神経症患者を応募兵の中からふるい分ける方法として、精神病医が面接のさいに行う種々の質問を整理し、これを印刷して新兵に答えさせる方法をWoodworthが発案したことに始まる(p.195)
とされている。
 さて、この書でも指摘されているように、質問紙法は当初いくつかの重大な問題を抱えていた。
  1. 被験者は自分自身を十分に知らない。したがって「あなたは攻撃的ですか」という質問をされたからといって、本当に攻撃的な人がYesと答えるとは限らない。
  2. 被験者の気分的変化や環境の変化によって答え方が変わってくるかもしれない。
  3. 同じ質問に対して、解釈が異なるかもしれない。例えば「あなたは毎日新聞を読みますか」という質問をされた時、ある人はテレビ欄を見るだけでも「毎日読む」と解釈するが、別の人は、「社説まできっちり読まなければ毎日読んだことにはならない」と考え、さらに別の人は朝日や讀賣ではなく「毎日新聞」の講読を尋ねていると解釈するかも知れない。
  4. 被験者はウソをつくかもしれない。特に入社試験などの場合、自分に不利になると思われるような設問に対しては本心とは異なる回答をするかもしれない。
 しかし、当初指摘されてきたこれらの問題は、質問と回答を一種の「言語的刺激」に対する回答と解釈し、質問や回答の言語的意味内容ではなく、統計的分析に基づく反応傾向の特性であると受け止めることによって、ある程度回避されるようになった。とはいえ、その結果を実用面でどう解釈するのか、また、そもそも「性格」なるものが行動の原因として意味をもつのかといった点では、ひじょうに誤解が多く、いかに科学的な性格検査を実施したからといって、それだけで自己理解や対人理解が可能になると考えるのは大きな誤りをおかす危険があることを指摘しておきたいと思う。
 次回(不定期連載)は、実際にどうやって質問紙検査を作っていくのか、そのしくみについて考えていきたいと思う。
【ちょっと思ったこと】
【新しく知ったこと】
【リンク情報】
  • 昨日の日記では「雪について思ったこと」をとりあげた。古いアルバムを引っぱり出してきたついでに、今週の自然のアルバムで「雪景色特集(海外編)」をアップした。昔を回想した自己満足的な写真が多いが、電話代とプロバイダの接続料金が気にならない方は御覧いただければ幸いである。
【生活記録】
  • 1/6の日記で寝ている時に蚊を叩いたことを書いたが、あれを最後に蚊は出現していない。たぶん3月までは蚊帳を吊らないで寝ることができる。
【家族の出来事】
【スクラップブック(翌日朝まで)】
※“..”は原文そのまま。他は長谷川による要約メモ。【 】は長谷川によるコメント。誤記もありうるので、言及される場合は必ず元記事を確認してください。
  • 10日付の総理府調査によれば、主要国・地域に対して「親しみを感じる」比率/「親しみを感じない」比率は以下の通り。
    • アメリカ 73.9%/22.9%
    • ロシア  11.2%/84.4%
    • 中国   45.9%/50.2%
    • 韓国   37.9%/57.5%
    • EU諸国 49.3%/41.9%
    • ASEAN諸国 37.9%/52.6%
    • 南西アジア諸国 23.9%/65.9%
  • 同じく総理府調査によれば、日本が国際社会で果たすべき役割は、「地球環境問題などの地球規模の問題解決(への貢献)」が43.3%、「国際平和維持」が33.8%、「難民等に対する支援」が26.9%。