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1月12日(月)

【思ったこと】

980112(月)
[一般]インターネット「宝くじ」は大事件か?
 今朝(1/12)の朝日新聞朝刊(大阪本社)は「インターネットで『宝くじ』」というニュースをトップで伝えていた。その後のテレビのニュースなどを総合すると、このくじを販売していたのは広島のエムジーワールドという会社であり、
  • ポストカード購入を名目に多額の賞金をかけている点で、指定された地方自治体だけに許可されている宝くじを販売した疑いがある。
  • 「世界海洋環境保護運動」をうたっているが、バヌアツの会社に15万円を送金しただけであり、当初から金をだましとる目的があった可能性がある。
  • じっさいには2000万円しか集めていないのに当選番号を発表しており、これも金をだましとる目的であった可能性がある。
などが、捜査の対象になっているらしい。
 この事件では全国数百人から2000万円程度の振り込みがあったということであるし、今後、類似の悪徳商法が広まる危険性もあるので、早め早めにネット商法の危険性を知らせることはそれなりに意味があるとは思うが、それにしても一面トップとは少々大げさではないか。

 朝日新聞ではさらに社会欄にも「詐欺まがい商法続々」という見出しの関連記事(1/12)が出ていた。しかし「続々」とはどういうことかと記事をみると[数字をアラビア数字に直したほかは原文のまま]
警察庁によると、コンピュータ・ネットワークを悪用した生活経済事犯の検挙数は、1995年が4件、96年が18件、97年も11月末で15件と増えている。
とある。4→18→15という数値がそもそも増えている証拠になるのかどうか疑わしいし、交通事故やいじめ、非行などの発生件数に比べると、問題視するほど大げさな現象なのかどうか、首をかしげたくなる。

 昨年1年間をふりかえってみると、確かに私のところにも「ネズミ講」勧誘の匿名メイルや「デマウィルス情報」が数回届いた。しかし、常識的な人間であるならば、ネズミ講メイルに誘われて多額の生活資金をつぎ込むとか、発信元も確認せずにチェーンメイルをばらまくという行動に走るとはとうてい思えない。朝日新聞(1/12)の上掲の記事では「世界に発信できるインターネットでは、被害が従来には考えられないほど早く、広範囲に広がる。」とその危険性を強調しているが、ネットの世界には、ちゃんと、そういうインチキ商法やデマ情報をうち消す機能も備わっているのだ。この日記を登録している「日記猿人界」などでも、稀に「死亡デマ情報」に踊らされた知識人もおられたが、短時間のうちに打ち消されていった。そういう意味では、大地震などで情報が遮断された時に広がる「余震デマ情報」や、かつて関東大震災の時に流されたという「朝鮮人暴動デマ」などがネットで広まる危険性は皆無に近いと言ってよいだろう。

 昨年、新聞記事の引用に絡む著作権問題をとりあげた時にも指摘したことがあるが、どうも大新聞のホームページには、「ネット上の情報は危険だ」というような論調が目立つ。「新聞だけを信じなさい」という意図が見え隠れしていると言ったら言い過ぎだろうか。

 ところで私の研究室にはたまに「肢体不自由児の施設から」とか、「難民救援」などを名乗って募金を求めにくる若者がいる。また初詣に行くと、神社の入り口付近で写真付きの身分証明書を胸につけて社会福祉の募金を求める者もいる。これらは大半が、同一宗教団体の信者によるインチキ募金であり、アリバイ的に少額は福祉団体に寄附されるとしても、大部分は所属団体への献金にまわされるものと推測される。上述のネット上での悪徳商法と、このインチキ募金を比較すると、私は後者のほうが遙かに許せない。前者でだまされるのはもともと、「自分も大儲けしよう」とたくらむ欲張りな連中である。悪徳商法自体は許せないが、被害に遭うなら勝手に遭えばいいじゃないか、それも社会勉強だという論理もなりたつだろう(なんとなく、こちらの方の主張に似てきた)。後者でだまされるのは善意の人々ばかりである。善意を踏みにじって私腹を肥やす宗教団体のほうが、欲張りをだまして金を巻き上げる悪徳業者より数段ワルであると私は思う。
【ちょっと思ったこと】
  • 昨日の日記でも書いたが、20時から「生き物地球紀行」があった。登場した松沢さんは、私より2歳年上の先輩である。学部時代は山岳部に所属し、剣岳で危うく遭難しかけたこともあった。海外の8000メートル級のアタック隊にも加わったことがある。
  • 今回の番組はアフリカ西海岸のギニアが舞台であった。この周辺の国々では内戦が絶えない。人間の愚かな争いによって、チンパンジーの平和な社会が絶滅の危機に陥ることのないよう願いたいものだ。
【新しく知ったこと】
【リンク情報】
【生活記録】
【家族の出来事】
【スクラップブック(翌日朝まで)】
※“..”は原文そのまま。他は長谷川による要約メモ。【 】は長谷川によるコメント。誤記もありうるので、言及される場合は必ず元記事を確認してください。