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2月7日(土)

【思ったこと】

980207(土)
[心理]「我慢」について思ったこと(その1)
 中高校生によるナイフを使った事件が相次いでいることについて3日、中央教育審議会小委員会の座長が「子どもに我慢を覚えさせよう」という試案を示したという。座長がどういう意味で「我慢」という言葉を使ったのか定かではないが、とかくこういう言葉は独り歩きするものだ。今朝の朝日新聞の「Q究インサイドニュース:ナイフを握る少年たち」でも寄せられた投稿を紹介していたが、人により解釈はまちまちであるとの印象をもった。具体性のある議論を展開するには、もう少し「我慢」の意味を問い直してみたほうがよさそうである。そこで今日から不定期連載で、「我慢とは何か」、「我慢に代わるものは何か」といった問題を考えてみることにしたい。
 このシリーズで私が主張したいことは次のとおりである。
  • ある分野で我慢強くなったからと言って、別の分野でも我慢強くなるとは限らない。
  • 苦しい出来事に対して耐える我慢と、欲しい物を我慢とは、必ずしも同一とは限らない。
  • 何でもかんでも我慢することを覚えさせることは、無気力な人間を作る恐れあり。
  • 特定の行動を我慢するよりも、別の多様な行動に結果を与えることのほうが効果的ではないか。
  • 「すぐには手に入らない」ことを教えるのではなく「こうすれば手に入る」ということを教える。
 今日は1回目なので、まず、「我慢」の国語的な意味を確認しておく。三省堂の『現代国語辞典』(電子ブック版)によれば、「我慢」とは
  1. 苦しいことやつらいことをこらえること。たえしのぶこと。
  2. こらえてゆるすこと。
となっている。我々が常識的に思い浮かべる我慢の意味と一致する。 同じ三省堂でも『新明解国語辞典』第5版のほうはさすがにユニークだ。まず、「我慢」の語源が「もと仏教語で、我(ガ)を立てる気持ちが強すぎ、自らを高しとする念が常に全面【←前面?】に出る意。つまり自慢」であると説明した上で、次のような意味を与えている。
  1. (我慢な)少しくらい自説に無理が有ると分かっていても、意地で主張を通す様子。
  2. (我慢する)精神的・肉体的に苦しい事が有っても、意地で凌ぎを通し、弱音など吐かないこと。
上の2つの説明にはいずれも「意地」という言葉が出てくる。これをさらに調べると、
  1. 一度やろうと思った事を、無理にでもやり通そうとする気持ち。
  2. 人間が生きていく上の欲望。特に、食欲・金銭欲・性欲など。
したがって、上記の「我慢」の説明の部分に「意地」の意味を「代入」すると、
  1. (我慢な)少しくらい自説に無理が有ると分かっていても、【無理にでもやり通そうとする】様子。
  2. (我慢する)精神的・肉体的に苦しい事が有っても、【人間が生きていく上の欲望、特に、食欲・金銭欲・性欲など】で凌ぎを通し、弱音など吐かないこと。
うーむ。中央教育審議会小委員会の座長は、こういうことを子どもに教えたかったのだろうか。

<追記1>「我慢」をキーワードにgooで検索したところ、7372件もヒットした。書物では中野孝次氏の『我慢の思想』など。「日記猿人」とのAND検索をしてみると、「tomoの勤務日誌」、「デーテーペーな1日」(←「日記猿人関係の発言はこちらで」という文字列があるためにヒットしてしまう)、「BOWDO」、「独断と偏見」などがヒットした。何か共通性が?
<追記2>ご本家の議論は、こちらに掲載されていくものと思う。
<追記3>『新明解』の第四版では「我慢」は「精神的肉体的に苦し(くて訴えた)い気持ちを発散させないで抑えること。」と、短い説明になっていた。なぜ第五版であのように書き換えられたのかは不明。
【ちょっと思ったこと】
  • 昼過ぎに長野オリンピックの開会式を見た。人工的なお祭りには殆ど関心をもたない私であるが、世界中の人々が同じ時刻に衛星回線を通じて「歓喜の歌」を合唱するというのは本当に素晴らしいことだと思った。以前NHKで取り上げていたが、微妙な遅延を解決した技術力も大したものである。
  • せっかくの感動のクライマックスに多少疑問に思ったことが2つ。「歓喜の歌」の内容をイスラム教徒や仏教徒が不快に思うことはなかったのだろうか。それと、「優しい妻を持たぬ者はこの場から去れ」というような歌詞があったが、その字幕を見て息子が「あんなこと言ったら会場から去らなければならない人がいっぱいいるよ」と言っていた。あれは「去れ」と言ってから「戻ってこい」という意味だったか。歌詞の解釈に詳しい方、教えてくだされば幸いである。
【新しく知ったこと】
【リンク情報】
  • 1/30の日記でシャトル(実はミール)のことを書いてから、人工衛星見物に関心を持ち始めている。三島さんのホームページにはいろいろな衛星の予報が掲載されているが、いまお勧めは、「きく7号」を打ち上げた「H2ロケット」である。本日2/7の18時25-30分頃は、岡山では西から東にかけて南の空、かなり高い位置(オリオン座の上部付近)を通過していくのが見えた。明るさはオリオン座の三ツ星ぐらい。このロケットは、2/8の19時21分頃と、2/9の18時38分頃にも、西から南の空を通る様子が見えるという。詳しくは、こちら。「きく7号」のほうの予報はこちらだが、私自身はまだ確認していない。
【生活記録】
【家族の出来事】
(本日も更新なし)
【スクラップブック(翌日朝まで)】
※“..”は原文そのまま。他は長谷川による要約メモ。【 】は長谷川によるコメント。誤記もありうるので、言及される場合は必ず元記事を確認してください。