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| 【思ったこと】980412(日) [心理]心理学の実験で分かること分からないこと(5)因果モデルと「小さな理論」 きょうは、昨日の補足のみ。「大きな理論」、「小さな理論」は調査研究を含め、因果モデル構築と密接な関わりをもっている。豊田(1998)[豊田秀樹 (1998). 構造方程式モデル−−共分散構造分析・入門編−−. エーアンドエー.]は、まず、「このため因果律は人間の思考に属しており、人間の視覚や思考から独立に実在するものではない。(p. 157)」とした上で、因果モデル構成にあたっての次のような点に留意する必要があると指摘している。 
 以上の指摘は、いずれも「小さな理論」の立場を示すものと言える。上記の留意点、共分散構造分析の立場から指摘されたものであるが、じつは、行動分析学も「因果律」について同じ立場をとっている。行動分析学的にみれば、科学的認識は、広義の言語行動の形をとるものだ。人間は、普遍的な真理をそっくりそのまま認識するのではなくて、自己の要請に応じて、環境により有効な働きかけを行うために秩序づけていくというのが、基本的な視点となっている。この点に関しても、昨年10月頃の日記に関連記述があったので再掲させていただく。 自然界には確かに法則のようなものが人間から独立して存在する。それは、人類の誕生前から存在し、人類が滅亡した後でも、宇宙の構造が質的に変わらない限り、同じように存在するだろう。しかし、それを人間が認識するとなると話は違ってくる。「科学的認識は、広義の言語行動の形をとるものだ。人間は、普遍的な真理をそっくりそのまま認識するのではなくて、自己の要請に応じて、環境により有効な働きかけを行うために秩序づけていくだけなのだ。」というのが、行動分析学的な科学認識の見方と言えよう。佐藤(1976)[佐藤方哉 (1976). 行動理論への招待. 大修館書店]は、この点に関して、科学とは「自然のなかに厳然と存在する秩序を人間が何とかして見つけ出す作業」ではなく、「自然を人間が秩序づける作業である」という考え方を示している。 <以下、不定期更新で続く> | 
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