6月7日(日)
【思ったこと】
980607(日)[自然]カブトエビはどこへ?
私の住んでいるアパート一帯は、岡山市内とはいえ、未だところどころに田んぼがある。6月も中旬に入り、あちこちで田植えの風景が見られるようになってきた。この季節、東京育ちの私にとって何よりも珍しいのは、田植えから2-3週間たって突然姿を現すカブトエビ、ホウネンエビ、カイエビなど。ほかに、これはあんまり歓迎はしないけれど、反物の妖怪のようにクネクネと泳ぎ回るチスイビルも珍しいといえば珍しい。
土曜日に、今年の田んぼはどんな具合だろうかと、昨年カブトエビが現れた場所をまわってみたが、驚いたことに、3箇所の田んぼが昨年秋以降に埋め立てられ、宅地として造成されていることが分かった。
こちらに、期間限定で、その写真を掲載した。
岡山に来てかれこれ8年目になるが、不況と言われるわりには、この半年余りの田んぼの宅地化の動きは激しいように思う。聞くところでは、一部は50年限定の借地権つき住宅として売り出されているという。大学周辺は坪100万〜150万はするので、少なくとも大学の教員が土地を買って家を建てることは不可能になっている。借地権ということであれば持ち主も「先祖代々の土地を失ってしまった」という呵責の念にとらわれることもないし、買い手のほうも50年後なんぞは生きていないから、いっそ子どもたちが相続争いで仲違いしないためにも限定借地権にしておいたほうがよい、と考えるかもしれない。このほか、学生向けのアパートのほうも、いろいろと融資が得られるのだろうか。少子化の影響で学生数が減少するはずにも関わらずどんどん新しいのが建てられているようだ。
さて、肝心のカブトエビのほうだが、この生き物は、一年の大半を卵として乾いた田んぼで過ごす。田植えの時期になると次々と孵化して気持ちよさそうに田んぼのなかを泳ぎ回るが、数週間もたつと殆ど姿を消してしまう。次の世代の卵を生んで、その短い一生を終えるのであろう。笠岡のほうに居るカブトガニと比べると、姿かたちはそっくりだが、寿命のほうはえらい違いだ。
カブトエビの孵化の時期はかなりバラツキがあると聞いたことがある。田植えの時期と大雨で水たまりができた時とを区別することは出来ないから、おそらく、少しインターバルを置いて、少しずつ孵化し、田植えに時期についての目論見の失敗を補っているのであろう。
宅地造成はやむを得ないが、カブトエビにとっては大迷惑であろう。孵化をめざして乾いた田んぼの中で必至にこらえていたかと思えば、突然、ダンプカーやパワーシャベルがやってきて、土砂をかぶせていく。かすかに生き残った卵も、土の下で、決してやってこない田植えを待ち望んでいることであろう。
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【ちょっと思ったこと】
- W杯サッカー「カズ落選」に関して、日記作者の各位の御意見を拝読してきた。新聞などには現れない様々な見方があって、たいへん興味深かった。私はサッカーについては全くの素人でありコメントできる立場にはないが、一般論として、ある人が、(一般大衆にとって賛否を巻き起こすような)目立つ行動をとればとるほど、結果についての責任が個人の資質に帰せられる度合いが高まるということは言えると思う。もし「カズ」が出場していれば、日本が勝っても負けても監督個人に原因が帰属させられる度合いは小さいが、「カズ落選」のもとでは、勝てば「英断」として監督の評価が上がる一方、負ければ「監督がカズを出場させなかったからだ」という批判が起こる可能性がある。それを承知で判断を下したというあたりに、勝負にかける監督の意気込みが感じられる。
その他に感じる問題としては、スポーツ競技における英雄の効用であろう。スポーツ観戦の面白さは、競技そのものの面白さばかりではない。選手への思い入れがあり、その選手の長年の努力と重ね合わせながら活躍ぶりを観ることで初めて熱中できるようになる。そのためには、客観的な実力の差以上に目立つようなヒーロー、ヒロインの存在がぜひとも必要である。大相撲なども、客観的にパワーや技を比較すると、横綱や大関と三役以下にそんなに実力差があるとは思えないのだが、横綱をという地位に特別の付加価値を与えることで面白味が増す。そういう意味では、テクニカルライターさんもちょっと書いておられたが(6/2)、ヒーローの活躍という要素が無いと地味すぎて人気の拡大につながらないという恐れは多分にあるかもしれない。ちなみに、娘が買って貰った『小学四年生』7月号特別付録の『98フランスW杯観戦ガイド』には日本代表インタビューの冒頭に三浦和良氏の談話が載せられていた。
- 6/8朝日新聞によると、生保が企業年金の利率を下げる方針を固めたという。現在2.5%の保証利回りを1.75-1.5%程度にするという内容らしい。これに限らず、現在私が契約している保険の運用実績はきわめて悪い。変額保険は軒並み莫大なマイナス、財形年金も当初「予想」されていたような年金額は全く期待できない。超低金利が続く中で逆ざやが生じている以上、引き下げもやむを得ないかもしれないが、こんな低利率では新規に契約をしようという気にはならないし、私自身、10年とか20年契約のものが満期になった時に別の保険に乗り換えるような気持ちにはならないだろう。まあ、もともと、生保で財テクという発想自体が間違っていたのかもしれない。長谷川家の家訓として「保険はすべて掛け捨て」を付け加えておこう。それはそれとして年金に絡む自助努力が報われないようでは、高齢化社会は危うい。福祉の基本は、各自が、自分のできる範囲で行動し、その行動に対して適切な結果が伴うような社会的な仕組みを作っていくことだ。ただ単に無料サービスを増やしたところで、行動に結果が伴わなければ生きがいにはなりえない。その前段階において、自助努力が報われるようなシステムが必要であり、個人が自発的に契約する財形年金とか個人年金などの金利設定には特別の優遇措置があってもよさそうに思うのだが...。
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【新しく知ったこと】
- ブラジルにある世界最大のサッカー競技場のグラウンド内には、公衆電話ボックスが設置されている[6/7 NHKクイズ日本人の質問]
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【リンク情報】
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【生活記録】
- 先週から息子の部活動が始まった。私は学術系、特に科学のサークルを勧めていたのだが、なっなんと、野球部に入ったそうである。きょうの夕刻、大学の空き地で、半年ぶりに息子とキャッチボールとバッティング練習をした。心持ち直球の威力が増したような気がする。追い越されるのは時間の問題だなあ。
- よく晴れたので、19時36分ころ家族全員で人工衛星「Iridium 56」を眺める。この一週間あまりのうちでは一番明るいマイナス6等の予報が出ていたので期待していたが、まだ空が明るく、妻や子どもたちの感激はいまひとつだったようだ。とはいえ、あの明るさは少な目に見積もってもマイナス5-6等はあった。太陽と月を除けば、今までに私が見た星の中ではいちばん明るかった。
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【家族の出来事】
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【スクラップブック(翌日朝まで、“ ”部分は原文そのまま。他は長谷川による要約。【 】部分は簡単なコメント。)】
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