【思ったこと】 990804(水)[心理]大学公開説明会
8/5と8/6に岡山大学の公開説明会がある。広報委員をしている私は5日午前の文学部の説明会で行動科学科の紹介をすることになっている。当日朝は一番に床屋に行ってきちっと整髪し、一年に5〜6回しか着用しないネクタイなど締めて400人規模の高校生を前に話をする予定。昨年の日記を見ると、そういや昨年も同じような話が書いてあることが分かった。昨年は学科幹事だからという理由で説明をしたはずだったのだが、今年も同じ役回りが来たということは、昨年は幹事であったためではなく広報委員であったために演壇に立たされたようだ。ま、同じ人間がしゃべることには変わりはないが...。さて、今年の話は...
- 「行動科学」という言葉は、1946年頃、J.G.ミラーを中心とするシカゴ大学のグループが「行動の一般理論」を生物化学と社会科学の両見地から展開するために、両者にまたがった新しい種類の科学の名称として用い始めたのが最初である。
- 但し、現在ではその研究範囲はきわめて広範囲にわたり、一口で「行動科学とは?」と論じることは難しくなっている。本学では、そうした諸分野の中で, 「心理学」, 「社会学・文化人類学」, 「地理学」の3履修コースが設置されている。これらの学問領域は, 人間の心や行動, 社会や文化, それらと自然環境との関係や地域性などについて, それぞれの学問独自の立場から, 主として実証的な方法によって, 科学的に分析・解明しようとするものである。
- このうち、地理学は別として、「心理学」や「社会学・文化人類学」は高校までで一度も系統的に習ったことのない学問分野である。それらは、テレビとか週刊誌などの影響でしばしば誤解されやすい。関心を持たれた方は、固定観念や先入観を捨て、新鮮な気持ちでこの学科をめざしていただきたいと思う。
- ところで、今述べたように、行動科学はその方法論上の特徴として、統計学などの数学的方法とともに、実験、調査、測定に裏付けられた実証科学的方法を用いることがあげられる。そして、現実の中に飛び込んでデータを集め、問題の所在を探り、それへの具体的解決策を考えるというきわめて実践的な科学であるという側面も有している。
- このうち実証的というのは、ただ単に「みんなが納得した」「誰も反対しなかった」という合意や了解にとどまるものではなく、予測や制御の可能性を真理基準にするということを含んでいる。そこで、これを分かりやすく説明するために、簡単な手品をやってみよう[ここで、「読心術」の手品を披露する]。
- 行動科学を研究するためには、1つの現象について安易な説明を求めず、さまざまな角度から多面的に原因を探る目を養うことも必要である。たとえば以下の問題について考えてみよう[以下は時間の関係により一部省略]
- 腕時計のガラスをハンマーで叩いたら壊れた。その原因はどこにあるだろう?
- あるダイエット法についての体験談がいっぱい掲載されている。体験談はダイエット法が有効であることの証拠になるだろうか。
- 私がよく行くスーパーの入り口には3ナンバーの車が違法駐車していることが多い。このことから、一般に3ナンバーの車を運転する人は駐車場にちゃんと止めることについてマナーが悪いと言えるだろうか。
- 最後に、毎年、この学科をめざす人の中に「カウンセラーの資格をとりたい」という人がいるので一言。そもそもカウンセラーというのは国家資格ではなく、誰でも名乗りたければ名乗れるもの。いずれにせよ、この学科では、カウンセラーを養成するような教育は一切やっていない。もちろん、心理学の履修コースを卒業して一定の手続をとれば「認定心理士」(法人認定資格)の資格が取得できるし、さらに本学を卒業後、一定の研修を受ければ「産業カウンセラー」、あるいは別の大学の特定大学院に進学すれば「臨床心理士」(これも法人認定資格)を取得することも可能であるが、初めからそれだけをめざして入学してこられる方に配慮した教育は行っていない。むしろ、「カウンセラーの助けを借りずに充実した生活を実現するには自分の行動や周囲の環境をどう整えたらよいのか」を幅広く追究したいと考えている方がたくさん入学されることを希望している。
というような骨格で話してみようか。
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