じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

8月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
[今日の写真] 皆既日食観測地付近で見つけた朝鮮朝顔の花。トゲトゲの実はメナモミの仲間か。

8月27日(金)

【イランで思ったこと(8)】
990827(金)[旅行]立っておしっこすること、紙でお尻を拭くことについて考える
[イランの写真] [イランの写真]
 イランの公衆トイレを利用してまずビックリしたのは、男性トイレに「立ちション型」の便器が全く無いことだった。さっそくガイドさんに聞いてみたところ、イランでは、ドアの無い便器の前で立ったまま小便をするというのは恥ずかしいこととされていることが分かった。かつて中国シルクロード沿いの石河子の工場を見学した時に入ったトイレ(但し、20年近く前の話)などは大便用でもドアが無く、現地の人がお尻を向きだしにして脱糞されているのを目撃したことがあった。25年ほど前に訪れたエルミタージュ(旧ソ連)のトイレも、ドアの高さが1mぐらいしか無くて中が丸見えになっていた。また、15年ほど前に旧ソ連の中央アジアを夫婦で訪れた時などはトイレそのものが少なく、妻が遺跡のがれきの合間にしゃがみ込んで用を足す時に見張り役をつとめたことが何度もあった。この点、イランほどトイレが整備されており、かつプライバシーが尊重される国は他には無かろうと思う。

 「立ちション型」の便器というのが、男性用、女性用トイレを区別する手がかりになっていることにも改めて気づいた。日本国内でも看板が壊れていたりして男女別のトイレの入口の区別がつかないことがある。この時、トイレ内に誰も居なくても、「立ちション型」便器があれば間違いなく男性用、全く無ければ女性用であると直ちに確認できるわけだが、イランではこうした区別ができない。ペルシャ語は全く読めないため、2〜3回ほど間違えて女性用のほうに入りかけてしまったことがあった(思い返してみると、道路から手前にあるほうが男性用であることが殆どであったようだ)。

 トイレを利用している時に、さらに別の疑問が生まれた。どのトイレにも、ホースのついた蛇口か水差し(写真左)が置かれていたのである。水洗タンクのヒモは別にあるので、便器の掃除用かと思っていたが、帰国直前になって初めてこれはお尻を洗うためのものであることを教えてもらった。そういえば、以前、インド・ヒマラヤを旅行した時にも、紙ではなく水でお尻を洗うハメになったことがあった。日本でも近年は洗浄装置付の便座が普及しており、実は我が家でも4〜5年前からこれを設置している。一度使い出すと紙でお尻を拭くだけではとっても不衛生な気がする。そもそも、ゴワゴワの和紙しか無かった明治以前には紙でお尻を拭くなどという習慣は無かったはずだと思うのだが、いつ頃、誰の陰謀でトイレットペーパーなどというものが登場したのだろうか。どなたか教えていただければ幸いです。

 ところで、私自身は、日本の洋式トイレを利用する時と同様、イランのトイレでもドアを背にして立ったまま小用をしていたが、帰国間際になってガイドさんに聞いてみて、実はズボンをおろしてしゃがんでやらなければいけないということを初めて知った。

 ガイドさんに「では、今までどうやってしていたのですか?」と逆に尋ねられたので立ったまましていたことを白状した上で「イランの男性がみなしゃがんで小便をするならば、ズボンのチャックは不必要ではないか」と質問してみた。ガイドさんは「じゃあ、チャックが無かったらどうやってズボンを脱ぐのですか?」。そう言われてみれば、ズボンのチャックというのは小便をする時だけ開けるものとは限らない。実にくだらない質問をしてしまったものだ。

 それから、これは帰国後にイランのガイドブックを読み直して初めて気づいたことであったが、イランではドア方向に向いて便器にしゃがむのだという。日本でも洋式トイレは、ドア方向を向いて座るが、これは逆方向では便器の蓋が邪魔をするため。和式トイレではドア方向に背中を向けてしゃがむように設計されているのでまさに正反対となる。確かに、ドア側にお尻をむけてしゃがむなどというのはずいぶん恥ずかしいことであるようにも思える。余談だが、日本では、ドアと直角方向に便器が設置されているトイレも多い。この場合、たしかトイレ全体の入口方向に背中が向くように便器が設置されることが多いように記憶しているがどうだっただろうか。

※写真左は、イスファハンのトイレ。写真右は、イランで見つけた唯一の「立ちション型」便器で、ガラス&陶器博物館(アーブギーネ博物館)にあったもの。じつはこの博物館はもともとエジプト大使館として使われていたそうで、おそらくその時に便器も設置されたのであろう。もっとも足の短い私は排尿器官が便器の高さまで届かず利用することができなかった。
【新しく知ったこと】
【ちょっと思ったこと】