じぶん更新日記

1999年5月6日開設
Y.Hasegawa
[今日の写真] 暖冬のせいか、もともとこういう性質なのか分からないが、モミジのタネが枝から落ちずに残っていた。セーター試験の縁起物?

1月15日(土)

【思ったこと】
_0011(土)[心理]「行動随伴性に基づく人間理解」その後(11):マナーの悪い成人式の存続問題

 1/16の朝日新聞によれば、静岡市の小嶋市長は成人式翌日の11日の記者会見で「成人式の費用は1000万円近い。だれも話を聞かないようでは、税金を使ってまで式を続けるべきかどうか疑問だ」として、市主催の成人式を来年から廃止する可能性を明らかにしたという。静岡市に限らず、各地の成人式では、来賓あいさつの最中に携帯電話で話したり、友人としゃべり続けて話を聞かないという「マナーの悪さ」が目立つところがあるという。

 元の記事は、市長の発言に対して晴れ着が売れなくなることを危惧した呉服商から猛反発があったということに主眼が置かれていたけれども、ここでは、きっかけとなった「成人式におけるマナーの悪さ」のほうに目を向けてみたいと思う。

 まず一般論として、「式」と名付けられる場で、その挙行を妨害するような行動は厳につつしまなければならない。公共の場で私的な騒音を発することは、静穏を必要とする周囲の人々の価値観を侵害する。少なくとも、「式」がつまらないなら会場の外で待機していればいいじゃないか、という論理は成り立つ。これは、私語の多い大学で授業を聞きたくないなら外へ出ろと基本的には同じスタンスと言えよう。

 しかし、成人式は、それに参加しなければ成人の資格を失うというものでも無かろう。「式には参加するが、来賓の挨拶には耳を傾けない」という現象がどういう事象によって強化されているのか、行動分析学的な視点から細かく見ていく必要があると思う。

 もし、若者たちが「式」での「講演」を目的に参加するというのであれば(=講演内容で強化される)、型にはまった長時間の挨拶を取りやめ、もっとタメになる話をする人(静岡市だったら、赤尾さんが居られるではないか)に記念講演を依頼するという改善が求められる。
[※追記]赤尾さんは静岡市ではなく浜松市ご在住だった。失礼しました。

 また逆に、若者たちがそういう堅苦しい「式」には無関心で、高校の同窓生たちとの再会の場を求めて参加してくるのであったら、高尚な講演を宣っても場違いというものだ。関心が無い人に無理矢理話を聞かせても私語が多くなるのは当然。必ずしも「マナーの悪さ」の証明とするわけにはいかない。それならいっそのこと、挨拶抜きで、高校卒業後の再会を祝する会食パーティだけにしてしまえばよかろう。訓辞のようなものをたれなくても、自分たちの青春を語り合える場を与えれば、成人としての「自覚」もそれなりに芽生えるかもしれない。

 いずれにせよ、年輩者がお膳立てしたセレモニーでは限界があって当然。市主催の式を廃止するというならば、それに代えて、若者たちが自らの手で多様な形のセレモニーを企画できる機会を与えればよい。動員数に応じて市側が一定の補助をするという形のほうが、よっぽど期待がもてるように思う。
【ちょっと思ったこと】
  •  1月17日は阪神大震災丸5年を迎える。新聞記事で「5周年」と呼ばずに「丸5年」と呼ぶのは何故だろうと思って『新明解』で調べてみたところ、「周年」の意味は

    周年:[造語]何かが行われてから...回目の年。
    となっている。地震は人間が行った行事ではなくふりかかってきた災害であるということで、言葉遣いに配慮したものかと思う。

    <1/17追記>「5周年」も少数ながら使われているようだ。1/17の朝日新聞には「震災5周年。世界へ時代へ。」という兵庫県の全面広告あり。「阪神・淡路大震災5周年犠牲者追悼式典」、「阪神・淡路大震災5周年記念事業」という見出しもあった。「周年」という言葉遣いを控えているわけでもなさそうだ。

     そんななか、15日18時すぎに放映されたNHK「ふるさと発ドキュメント:震災を伝えたい」では、震災の精神的後遺症で夫を亡くした女性が自らの震災体験を「語り部」として伝えている姿が印象的に残った。

     16日の朝日新聞特集記事では、災害地に滞在していた外国人にとって日本語で伝えられる情報が分かりにくかったという事例が紹介されていたが、これは平易な日本語とは何かを考える上でも興味深い。記事では、

    けさ5時46分ごろ、兵庫県淡路島付近を震源とするマグニチュード7.2の直下型の大きな地震があり、神戸と洲本で震度6を記録するなど、近畿地方を中心に広い範囲で強い揺れに見舞われました
    といNHKニュースの文が、文の長さ(→原文平均75文字を35字程度に)、使用語句(外来語や漢語)、接続詞や二重否定などの複雑表現といった点で分かりにくかったことを指摘。言い換えの事例を紹介していた【著作権の問題があるかもしれないので言い換え文はここには載せない】。

     情報が、テレビ、ラジオ、活字のいずれで伝えられるかによって表現もかなり変わってくるとは思うけれど、私自身だったら

    大きな地震のニュースです。今日の朝、阪神地方で大地震がありました。起こったのは、5時46分。震源は淡路島付近。最大の震度は6。規模は○○地震レベルでした。
    という言い方を推奨する。なお元記事の言い換えは「外国人向けに分かりやすい」ことを目的としているので「今日の朝」は「今日...朝」というように区切って話すべきこと、「交通機関→電車・バス・車など」、「復旧→もとにもどる」、「ボランティア→手伝いをしてくれる人」というように漢語や外来語を言い換える工夫も提唱されていた。

  •  1/16の朝日新聞家庭欄によれば「インターネット禁煙マラソン」の参加者を実行委員会が募集中。これまで4回の参加者は730人で、マラソン終了時の禁煙導入率は67%、1年以上禁煙を続けている人は3回までで34%。募集は先着100人で参加経費は5000円。HPはこちら
    ※1/16朝にアクセスしたら、すでに「満員御礼」の表示あり。キャンセル待ちを受け付けているかどうかは不明。

     禁煙トレーニングをテーマに卒論研究をしている学生からこの種のサイトのことを聞いたことがあるが、いわば「セルフモニタリング」と「公的掲示」だけで上記のような成果が上げられるとは大したものだ。もっとも、5000円を払ってこういう企画に参加する人は、最初から禁煙に対する動機づけ(=行動分析で言えば確立操作)ができていた人であるとも言える。サイトで実際にどういう働きかけをしているのか興味深い。
【スクラップブック】
【今日の畑仕事】
夕食後の散歩時にレタスとブロッコリーを収穫。