じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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9月7日(土)

【チベット東部旅行記(7)】_20907(土)[旅行]イスラム教と仏教

 今回の旅行は、成都から西寧に至る行程のほとんどすべてがチベット仏教の世界であった(西寧到着前に立ち寄った共和、あるいは西寧ではイスラム教のモスクを見ることもできた)。

 中国と言えば、2年前の夏には、カラコルムハイウェイを通って、タシクルガンかやカシュガルを訪れたことがあったが、こちらは完全なイスラム圏。おなじ国でありながら、人々の生活ぶりにもずいぶんと違いがあるものだと実感した。




 それぞれの教義のことは何も分からないが、日常生活や経済活動に影響を与えそうなファクターとしては、女性に関する戒律、僧侶の有無、外国との関係を挙げることができるように思う。

 宗派や国によっても異なるが、一般にイスラム教の女性はいろいろな点で制約を受けている。この点、仏教圏の女性たちは、街角の店先でも道路工事の現場でも活発に動き回っていた。その是非はともかく、経済活動への寄与という点では仏教圏の女性のほうがはるかに大きいのではないかと思う。

 そのいっぽう、仏教圏ではかなりの数の僧侶がいる。僧侶たちの生活を支えるためにはそれだけ余分に生産活動をする人が必要になってくる。五体投地の巡礼者の場合も同様だ。このあたりの仕組みも調べてみる必要がありそうだ。

 外国との関係に関して言えば、イスラム教徒の場合は「子どもを育て上げた上で、メッカに巡礼に行く」を将来の夢とすることから分かるように、国外への志向性が高い。チベット仏教の場合は、ダライ・ラマ14世など亡命問題があるとはいえ、信仰の対象は国内のラサやカイラスや地元のゴンパに向かっているという点で、内部への志向性が高いという印象を受けた。




 今回の旅行のガイドさんは敬虔なチベット仏教徒であったため、イスラム教にはあまり良い印象を持っていないようだった。彼は
  • 世界各地で起こっている戦争の大部分は、イスラム教とキリスト教との対立が原因。
  • 青海省内の犯罪者は、イスラム教徒の比率が圧倒的に多い。
  • 仏教徒が生活する世界は緑が多い。緑につつまれていると心もやさしくなる。
などを挙げて仏教の優越性を強調していたが、カシュガルでお世話になったガイドさんや運転手さん[こちら参照]、あるいはイラン皆既日食見物のさいにお世話になったガイドさんの話[たとえばこちら]からは、イスラム教徒がいかに平和で秩序ある生活を求めているかがよく分かる。けっきょくのところ、仏教、イスラム教、キリスト教のなかでどれが平和的かなどと言うのは比較不能である。もちろん、いずれにおいても、その教義を都合のように解釈したカルト宗教や過激派は存在するが、それだけを誇大に取り上げて批判するのは間違いであるし、ステレオタイプな見方も禁物だ。そう言えば、もうすぐ9月11日がやってくるが、ニューヨークにも平和を愛するイスラム教徒たちがいっぱいいる。