9月10日(金)

【ちょっと思ったこと】

月水金土/南半球でオリオン座が逆さに見えるわけ

 京都で行われる質的心理学会に参加するため、9月11日は4時50分に起床。いつもより早めに散歩に出かけた。東の空には、月齢26の月と金星が同じ高さに仲良く並んで輝いており、その近くでは、双子座と土星が三角形をつくり、また東の空低い位置には、2日前に西方最大離角を迎えた水星が光っており、太陽系を実感させる壮観な眺めであった。

 そう言えば、先日のアンデス旅行の時にも夜明け前の空を堪能することができた。ウユニ塩湖手前のサンファンという村で泊まった時、3時半頃に中庭に出てみたところ、南の空には、カノープスが明るく輝き、その右方向に、大マゼラン雲、小マゼラン雲がボーッと光っていた。大小マゼラン雲があれほど鮮明に見えたのは、かつてのキリマンジャロ登山以来のことであった。

 南半球の夜空で面白いのは、オリオン座が逆さに見えていることだ。日本でオリオン座と言えば、こちらに示されているように、オリオンの頭が天頂方向にあり、肩のあたりにベテルギウス、ベルトのあたりに三つ星、その斜め下に小三つ星、左の足首のあたりにリゲルという配置になっている。ところが、南半球に行くと、頭のほうが地平線側にあって倒立しているのである。

 もっとも、これは、赤道を通過した瞬間に夜空がひっくり返るというわけではない。今回の旅行でやっとそのことを実感したのだが、オリオン座が逆さに見えるのは、ただ単に、人間が北の空を向いてオリオン座を眺めているからに過ぎないのだ。日本にあっても、北の方向を向きながら仰向けになるようにしてオリオン座を見れば倒立して見えるのである。

 南半球では、太陽も大方の星も、右から左に動くように見えるが、実はこれも人間の立つ方向に依存しているのだ。南半球であっても、南の方向を向きながら仰向けになるようにして太陽を眺めれば、日本と同じように左から右に動いているのである。

 ちなみに、月は、北や南に大きく片寄るので、観察者がどちらの方角を向いているかによって、左から右に動くようにも見えるし、逆に右から左に動くようにも見える。