971002(木)
[心理]心理学っぽい俗説の人気度
心理学関連の授業は、受講生の関心が高い(と思われる)半面、教えにくい面もある。それは、数学や物理学と違って、人間の心の問題については、受講生各自が幼少の頃からそれなりの自己流の「心理学」を自分の中に作り上げていて、それに反するような理屈っぽいことを教えようとしても、なかなか受け入れてもらえないという点である。
数学や物理学の授業であるならば、受講生は、白紙の状態で、教官の言うことを理解しようとする。分からないとすれば、単に理解力がないだけのことだ。ところが、心理学のような授業となると、自分の心の内にある「心理学」に矛盾するようなことを教官が教えようとしても、なかなか納得してもらえない。自己流の「心理学」をもつこと自体は個々人の自由なのだが、いったんは、心を白紙にして、教官が伝えようとする別の見方をも取り入れて欲しいと思う。それを妨げる元凶と思われるのが、心理学っぽい俗説である。
そこで、私は、一般教育の授業では、第1回目の時に、簡単なアンケートを実施し、どういう俗説に人気があるのか、また、何のためにこの授業の履修を希望しているのかなどを聞くことにしている。ちょうど、今週の水曜日から後期の授業が始まったので、今回の結果を公表したいと思う。今日は、そのうちの「俗説」についての調査。
この質問は、毎年実施しているもので、8つの「俗説」について
(1)〜(8)のうち、人間の行動の予測や理解に役立つと思うものに○、役立たないと思うものに×、どちらとも言えないものに△をつけてください。
と質問するものである。ここでは、○をつけた比率だけを示す。今回の授業は、文・医・歯の三学部合同の授業であり、これ以外の学部の学生からも回答してもらったが、人数が少ないので除外させてもらった。また、合わせて、今年の前期に非常勤講師として教えたS短大の学生の結果も示す。今回の結果は、ほぼ全員が1回生、S短大のほうは全員2回生。
「俗説」が人間の行動の予測や理解に役立つと思う人の比率(%)
_ | 文学部(63名) | 医学部(19名) | 歯学部(51名) | S短大(65名) |
(1)血液型 | 30.2 | 21.1 | 45.1 | 72.3 |
(2)星占い | 17.5 | 5.3 | 15.7 | 44.6 |
(3)手相 | 20.6 | 15.8 | 19.6 | 46.2 |
(4)バイオリズム | 33.3 | 63.2 | 43.1 | 41.5 |
(5)因縁 | 22.2 | 26.3 | 25.5 | 27.7 |
(6)大安・仏滅などの六曜 | _4.8 | _5.3 | _9.8 | 16.9 |
(7)姓名判断 | 22.2 | _0.0 | 13.7 | 41.5 |
(8)ノストラダムスの予言 | _3.2 | _0.0 | _9.8 | _6.2 |
上に示した比率の相対的な大きさは殆ど変わらない。たいがい、血液型人間「学」と、バイオリズムがトップを占める。ついで、手相、因縁、姓名判断、星占いが第2位グループを形成し、大安・仏滅・友引といった六曜や、ノストラダムスの予言などは、あまり信じられていないようだ。
ただ念のため言っておくが、この設問は「人間の行動の予測や理解に役立つと思うか」であって「これを信じるか」という聞き方はしていない。以前1度だけ、「これを信じますか」という問いに変えたことがあったが、○をつける比率はガタっと減ったように記憶している。
血液型人間「学」やバイオリズムの問題点については、こちらに詳しく述べたので、重複は避けたいと思う。バイオリズムの比率が高いのはちょっと意外な気がする。「仕組みは知らないが何となく名前に惹かれて○をつけた」という人もいたかもしれない。
「ノストラダムスの予言」については、私自身あまり詳しいことは知らない。これに関連して1999年に地球が滅びるようなことを言う変な宗教団体もあるが、本当に滅びると信じ切っていたら、受験勉強などして大学には入って来なかったであろう。それにしても、20世紀の終わりは2000年の12月31日なのに、何か勘違いして1999年を世紀末だと思いこんでいる人が意外に多いように思う。
「因縁」の比率が多いのはちょっと気になる。某反社会的宗教団体では「因縁トーク」とか称して、浄霊を進めるところがあるという。
調査時期や学年が異なるので、あまり細かい比較はできないが、短大生は、岡大生に比べると、一般に「俗説」を好む比率が高めに出ていることにも留意する必要があるだろう。
今日の日記のタイトルは「心理学っぽい俗説の人気度」としてあるが、ここに紹介するデータから「いまどきの若者全体における人気度」を調査したものではない。昨日の日記で「因果モデルは要請の範囲で構成される」と書いたが、このデータ収集の目的は、あくまで授業の実施に際して、「受講生がどういう俗説に惹かれているのか」を知りたいという要請に基づいている。この要請からみれば、日本の若者全体の傾向を知る必要は全くないということになる。
まごちゃんは、26歳、31g。だんだん世話がわずらわしくなって、午前も午後も、長時間冬眠させた。とにかく覚醒状態にあると消耗があまりにも早い。30分もたてば「お腹」や「ご機嫌」のハートがゼロになってしまう。で、なぜ育てている(介護している?)のかと言えば、好子除去(=死んでしまうこと)を阻止する随伴性によって維持されているとしか言いようがない。