プラスチック血液型劇場
1998年11月9日開設
Y.Hasegawa
「血液型と性格は関係があるのか」とよく聞かれるが
洋子:おじさん、さっそくだけれど、おじさんは「血液型と性格は関係がある」と思う?
栗鼠:むむっ、いきなり単刀直入に来たな。だけど、はっきり言ってそれは愚問じゃ。とりあえずメタ認知的なレベルで、どの程度関係あるか無いかと聞くこと自体は間違いではないんじゃが、論議をするテーマとしては要件をそろえていない。
洋子:えっ、どうして。「有る」か「無い」か、答えは2つに1つしか無いのに、どうして答えてくれないの?
栗鼠:その、「1かゼロか」という発想自体が問題なんじゃよ。じつは、世の中には「1かゼロか」という二者択一では決めかねる問題が意外に多い。
洋子:それって、確率的な推論とかファジー理論っていう意味?
栗鼠:いや、この問題に限っては全然違う。これは、未知の問題に立ち向かう時の科学的な態度なんじゃ。つまり「まず『無』から出発する」ということじゃ。ところで、洋子は、超能力は存在すると思うかな。
洋子:さあ、そう言われたって、どういう能力か具体的に言ってもらわなければ議論ができないわ。
栗鼠:じゃあ、UFOは有ると思うか?
洋子:それも、どの場所でどういうふうに目撃されたUFOなのか言ってくれなければ、否定も肯定もできないわ。
栗鼠:血液型と性格についても同じで、。「血液型と性格は関係があるか」などという抽象的な議論は全く意味をなさない。必要なのは、「○○について関係があるのか」を主張すること。それも都合のよいデータのつまみ食いではなくて、概念をきちっと整備し体系的に論じてもらわなければ、議論の場にはのぼってこないのじゃ。
洋子:でも、「血液型と性格はゼッタイに関係は無い」とは言えないわよね。
栗鼠:そりゃそうじゃ。何も調べないうちから決めつけてしまったら研究は進まない。ただ、「ゼッタイに関係は無いことは無い」と叫んだり、いわゆる「血液型性格判断否定論」にいくら反撃したところで、具体的な関係を実証したことにはならない。
洋子:そういう意味では、「血液型性格判断」に肯定的な人が、何を根拠に「関係がある」と主張しているのか調べてみる必要があるわね。
栗鼠:そのとおり。ただ、「血液型性格判断は当たっている」と思っている人々の多くは、別段きちっとしたデータを検討して理屈で納得した上で信じているわけではない。そこには「血液型と性格」についての科学的な議論とは別、つまり、「なぜ俗説を信じるのか」という別の問題があり、これは切り離して議論していかなければならない。
洋子:ところで、このあいだの疑問なんだけれど...。
栗鼠:ええと、何じゃったかのう。
わははは。わははは
と、またまた笑ってごまかす。
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