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「血液型」番組における差別と偏見についての一般情報(その2)

2004年9月13日開設
文責・岡山大学文学部心理学教室・長谷川芳典


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【2004年12月29日 長文のため、本旨に関係無いと思われる部分を長谷川のほうで省略させていただきました。】
テレビ番組ではないのですが、琉球新聞で、教育評論家の阿部進氏による私立幼稚園連合会九州地区会における“血液型の保育への活用”について肯定的に取り上げていました。

記事はこちらになります。
http://www.ryukyushimpo.co.jp/news01/2004/2004_08/040806m.html

これはかなり問題かと。

生まれもって備わっていて、基本的に変えることのできないもの(「基本的に」と言ったのは、骨髄移植をした場合ドナーの血液型が違うとその血液型に代わる)を元に性格などを特定することは重大な差別行為であることは明確です。

ただ、私としては、心理学の学説がコケにされているのにも関わらず、心理学の業界なり職能団体が基本的にこの問題を静観・放置していることも血液型診断の問題を助長させてきたとも思っています。

教育心理学会なり臨床心理会なりが団体として声明など出す、というようなことはできないのでしょうか。

※長谷川追記 この問題につきましては、心理学関係のメイリングリストに投稿したことがあります。こちらのログの中の、fpr2638以下をご覧ください。
【2004年12月13日】
お名前(Mju 27歳 女)

血液型差別はかなり根が深いと思います。

差別する人にやめて欲しいと訴えたところで、「でも当たるんだもん」で聞く耳を持ってもらえないのです。それどころか、「冗談の通じないつまらない人」と思われてしまうので、最近はあきらめて受け流しているほどです。

「(血液型と性格に)関連がない」という証拠を提示しろ、と言った人もいます。そもそも統計学を理解していない人ですから、関連があったとしても因果関係があるとは言えないんだよ、と説明しても解ってもらえません。うるさがられるだけです。

就職活動でも、オリジナルのエントリーシートに血液型を書かせる企業があります。私は書きませんでした。面接官にしつこく聞かれたこともあります(しかもその方は副社長でした)。

この差別がなくなることを望んでいますが、差別する人を「そんなこと言うなんてバカじゃないの?」と非難する方法では解決できないことは実証済みです。

【2004年12月9日】
発信者/匿名希望
はじめまして。私はある中学校で働いております。
血液型による差別について、ここのところそのようなテレビ番組が多く、憂慮していたところです。私自身は血液型などには全く頓着しないので何とも思いませんでしたが、やはり学校に勤務するものとして考えなくてはいけないのは、生徒への影響です。

元々占いなど、神秘性のあるものは子供たちの大好物ですが、昨今の血液型関連番組に関しては笑って済まされないものを感じます。子供たちはこれから様々な人間関係の中で成長するわけですが、その人間関係に「縛り」を与えるような(X型とY型は相性が悪い、うまくいかない、X型は特定の仕事に向いていない、等)根拠に乏しい話を、まるで学説か何かのように語るのを聞かされて、成長期の心理面に悪影響がないと言い切れるでしょうか?

また、情けない話ですが同僚の教師までが仲間うちで「○先生は何型だから」などと話しているのを聞いてしまいました。いくら悪気がない、遊びの延長とは言いながら、それがどんなに馬鹿げた事か気づいていない大人が多いとは何と言う事態なのでしょうか。

対策は急がれるべきと思います。特に必要なのは、文部科学省など国の関連機関から学校などに通達を出すことではないかと思います。エイズの差別と同様、根拠がなく人を傷つけるものなのだという意識を、まず教員が持つことが大切です。先生のこれからの御活動を応援いたします。

【2004年12月4日】
 特定の血液型の人間を一括りにして「X型の人間は○○だ」と決めつけるのは、特定の人種や民族を一括りにして「××人は○○だ」と決めつけると同じことで、いわれなき差別以外の何物でもないことは、少し考えれば理解できそうだと思うのですが、一向に改善されないようです。

 他人を貶めて、自分の優位を確認して安心するとか、多数に阿って、少数を排除して世渡りしようとかいった風潮が蔓延しているように思います。

 話は変わりますが、20年近く前、私が●●工場で勤務していた頃、「重大事故(労働災害のことです)の時の応急処置の便宜の為に、各自のヘルメットに血液型を記入しよう」という提案を、工場の勤労部が、「差別に繋がる」との理由でを却下しましたことがありました。当時も「血液型性格判断」がもて囃されていた(血液ガタガタというコミックソングが流行していました)ので、勤労部の判断は止むを得なかったかも知れません。しかし、従業員の同和教育と労働衛生を所掌する勤労部の立場を考えれば、「血液型性格判断」とそれによる差別意識を明確に否定した上で、提案を認めるべきだったと考えています。提案を却下することで、逆に血液型による差別を認めてしまったように思います。

 もっとも、ヘルメットに血液型を記入していても、災害現の役には立たないという理由もあったようですが。

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