発表の趣旨
- 指定場所以外に駐車している車やバイクに警告ビラを貼り付ける、というのは結構いろんなところで実施されているようです。
その効果はどうやって調べたらよいのでしょうか。
- 大学の事務レベルの調査では,違反車の台数を数え,全体の違反台数が減れば“効果があった”というように報告されてきました。しかしこのレベルでは,各運転者がどのように行動を変えたのか,あるいは変えなかったのかという把握ができません。したがって,たとえば違反台数が2割減少し,それ以後は改善が見られなかった,などというような場合に,その原因を把握することができません。
- 今回の発表では,バイクのナンバープレートに基づいて,個体レベルでの貼り紙の効果を検討してみました。大学構内の駐車場のような場所では利用者が固定されているように思われていましたが,実際にはけっこう出入りが多く,1日1回程度の警告活動の“網にひっかからない”バイクも結構多いというような結果が得られました。
- 今回の調査に限らず,社会的ジレンマに関わる調査を行う場合には、しばしば全体数(比率)の変化のみを問題にする傾向があるように思われます。今回の検討結果は、このような調査において個体レベルの変容を把握することの意義と必要性を例示するものとして価値があると自認しております。