1996年10月7日から10日まで、横浜プリンスホテルにて、表記の会議が開催されました。PresidentはAuburn大学のPeter Harzem先生、Senior Organizerは佐藤方哉先生、Business Managerは杉山尚子先生でした。
会議は、原則として2会場同時進行の形で行われましたが、初日が9:30-21:00、2日目が9:00-21:00、3日目が9:00-19:00(そのあと懇親会)、最終日が8:00-12:00、というようにたいへん過密なスケジュールになっており、特に、午後2時半以降は夕食のための時間が設けられていないので、全部参加するためには空腹を我慢せざるをえない状況にありました。
会議では、口頭発表は原則として英語、招待講演やシンポジウムは大部分、日本語(日本語発表の場合は英語)の同時通訳がつくということになっていました。しかし、なにぶん専門用語も多いため、あらかじめ通訳さんに草稿がまわっている発表でも結構聞き取りにくく、ナマの英語を耳をそばだてて聞くしかないように思いました。質疑応答の場合は事前の打ち合わせがないので特に翻訳が難しく、誤訳もずいぶんあったようです。試しに聞いてみた限りで面白い(失礼)と思った誤訳としては"respondent conditioning"を“反応と条件づけ(たぶん"response and conditioning"と聞き間違え?)”というのがありました。もっとも、"repondent"はスキナーの造語ですから無理もありません。しかし、いずれにせよ、早口の英語を素早く日本語にしたり、その逆に英語にしたりできるというのはすごいなあと関心しました。
シンポジウムなどを聞いて参考になったことも忘れないうちに書きたいのですが、なかなか余裕がありません。再来年にスペインで行われる第4回の会議にもぜひ参加したいと思っています。
自分のpresentationの草稿については、直前まで同じ講座の助手の中田さんに見てもらいましたが、ずいぶんと直されました。高校卒業後アメリカの大学に入り博士号をとってきた中田さんの英語力には脱帽します。
そのおかげで、何とか形を整えることができ、今回の発表内容の元になった“阻止の随伴性”概念を初めてpublishしたMalott先生が発表直後に演壇まで来て“Congratulations!”と握手してくれました。Malott先生はまた、当日の午後にロビーで直接いろいろとコメントをしてくださり、さらに、いくつかの私のアイデアを次回の執筆の際に引用してもよいかとの申し出までいただき、たいへん光栄に思っているところです。 (写真は3日目に撮影したもの。掲載許可をいただいたので、ここにご紹介します)。
発表の草稿をご覧になりたい方はハムマークをクリックしてください。
今年の夏に2回生の青木さんがお世話になったNorth Texas大学のGlenn先生とは、初日にさっそくお話できたほか、3日目の昼に偶然に同じバスで磯子駅に向かうこととなり、他の3名の先生方を含めて駅前のそば屋さんで一緒に食事をさせていただきました。そばや丼のメニューの説明をするのが結構たいへんでしたが、それなりにおいしく食べていただいたようです。
写真は、左から、杉山尚子先生(事務局長)、Glenn先生、佐藤方哉先生(実行委員長)、私。(3日目夜に行われたInternational Buffet Dinnerの会場で)
なお、この会議のお知らせの記事(9月24日)のところで、ヤマギシズムのことを少々書きました。予想したとおり、ヤマギシズムに対するネガティブな側面ばかりが強調されたシンポジウムになってしまったように思います。次回の行動分析学会の個人発表では、この問題を取り上げてみようかと思案中です。
それと、浄土宗総合研究所の古庄さんによる“行動主義の立場から見た「仏教」”のシンポは、仏教の基本概念を簡潔に説明していただいてたいへん参考になりました。ただ、同席されたバングラデッッシュのお坊さんが、瞑想の仕方について熱弁をふるっているうちに時間切れとなってしまい、行動分析とどういう関係があるのかが全く議論されなかったのが残念でした。