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新聞記事引用・転載と著作権問題を考える
1997年11月28日開設
1998年1月14日最終更新
文中のリンクは執筆当時のものであり、現在では殆どがリンク切れになっていると思われます。
- 本サイトは、1997年11月10日付けで発表された日本新聞協会の「ネットワーク上の著作権について」と題した見解(11/10)から発するいろいろな問題を考えるコーナーとして開設されたものですが、すでに日数が経過しましたので、歴史文書として「長谷川の見解」を残す目的でここに保管しておきます。
- このコーナーは、新聞協会の見解に記されている「自由で民主的な社会を維持し、発展させていくためには、新聞が社会生活の様々な場所にある多様な情報や意見を幅広く収集し、世の中に伝達していくことが必要です。」という、新聞の社会的役割に理解を示しつつ、ネット上で新聞記事の引用や転載に様々な制約が加えられると、どういう問題が生じるのかを考え、将来の適正な引用や転載のあり方を考えていくことを目的としています。
- 特定新聞社への攻撃、あるいは不買運動を助長するような目的はいっさいありません。
長谷川の見解(Web日記「じぶん更新日記」からの抜粋)

1997年11月13日〜11月20日までの連載
概要
- 出典と範囲を明記した引用や転載は、盗作、翻案、剽窃には当たらない。
- 日本新聞協会の11月10日の見解は、権利の及ぶ最大限の範囲を主張したものとしては理解できるが、一般論として拡大解釈され一律適用された場合には重大な問題が生じる
- 法的解釈以前の問題として、著作物保護がなぜ必要であるのか、人類の共通資産としての活用との関係はどうか、ということを考えてみる必要がある。
- 新聞記事一般が著作物であることを認めたとしても、新聞の販売活動に損害を与えない限り、引用や転載を拒む理由はないはずだ。
- 新聞社側が、誰でも無料で瞬時にアクセスできる記事データベースを提供していない現状では、伝聞やデマにならないような正確な情報をネット上で伝えるためには、新聞記事の正確な引用、転載こそが必要である。
- 記者によって書かれた記事は、どんなものでも著作物になりうる可能性がある。記事に著作物の性格があるかないかという議論ではなく、引用や転載をどこまでフリーにできるかという議論に話題を転じるべきである。
- 新聞記事の公共的性格を考えると、転載の要請が、新聞社の一方的な判断で許可されたり拒否されたりするのは問題だ。
- 事前に引用や転載の許可を求めてほしいという主張が正当であったとしても、生鮮食料品的価値を失う以前に、当該の新聞社側が短時間以内に許諾を与える態勢にあるとは、到底思えない。
- 新聞社各社が、記事著作権問題について、業界にとって都合の良い解釈ばかりを報じ、反対の声の紹介を怠ることがあるならば、大いに問題である。