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 半田山植物園では12月8日まで『もみじ散策』イベントの一環として樹名当てクイズが行われていた。その中で『メタセコイア』が正解であるとされていた樹木【写真左】がいつまで経っても黄葉せず杉の木のように見えたので関係者に告げたところ、この樹木はメタセコイアではなく『タイワンスギ』でありクイズの正解看板がすぐ隣のメタセコイアと取り違えて掛けられていたことが判明した【写真右】。園内には、メタセコイア、セコイア(セコイアオスギとセコイアメスギの総称)、タイワンスギが隣り合って生えていて夏場までは区別がつきにくいが、初冬になるとメタセコイアだけは黄葉し葉を落とすので容易に見つけることができる。

 なお、セコイアは雌雄同株なのになぜ『セコイアオスギ』、『セコイアメスギ』というややこしい名前がつけられたのかChatGPTに尋ねたところ以下のような回答をいただいた。



以下に、名称が「ややこしく」なった主因を体系的に整理して説明します。
  1. **「セコイアオスギ」「セコイアメスギ」は性別を指した名称ではない**
    まず大前提として、**セコイア(Sequoia)もセコイア属に近縁のセコイアデンドロン(Sequoiadendron)も雌雄同株**であり、「オス」「メス」の区別で木を分類するものではありません。

    **「オスギ」「メスギ」は、性ではなく外形的な“擬似的性質”を表現した日本語通称**です。
  2. 日本語名の由来:**材質・見かけの違いを「オス」「メス」で表す伝統的命名法**
    日本では古くから、木材を扱う際に
    **硬くて締まった材 →「オス○○」柔らかくて軽い材 →「メス○○」**
    のように、性別を比喩として材質の特徴を表す命名習慣がありました。
    例:
    * オスギ/メスギ(杉の材質差)
    * オスネズ/メスネズ
    * オスブナ/メスブナ

    この文脈で理解すると、「セコイアオスギ」「セコイアメスギ」も**材質や樹木の外観の違いを“オス/メス”で比喩的に区別した名称**であることが分かります。

  3. 実際には種の違いを指す「俗名」として定着

    分類学的には:
    • **セコイアメスギ**:コースト・レッドウッド(Sequoia sempervirens)
      → 材が比較的軽く柔らかい
    • **セコイアオスギ**:ジャイアントセコイア(セコイアデンドロン、Sequoiadendron giganteum)
      → 幹が太く、材はより硬めで重厚な印象


    本来は「別種」ですが、日本で最初に導入・普及したときに**材質の違いを“メスギ/オスギ”で説明したため、性別の誤解を招く名称となった**と考えられます。

    これが、現在でも園芸・林業分野で通称として用いられ続けています。
  4. 誤解が生じる理由
    • 「雌雄同株の植物なのに“オス”“メス”とは何か?」という素朴な疑問が生じる
    • しかし実際には**樹木の性別とは無関係の、材質や形態に基づく比喩的呼称**
    • 日本語特有の木材業の命名慣習が背景にある

  5. まとめ
    **セコイアは雌雄同株で性別区分はないが、日本では材質の違いを“オス”“メス”で表す伝統的慣習があったため、「セコイアオスギ」「セコイアメスギ」という俗名が生じた**というのが理由です。
    学術的名称ではなく、材質・樹形の違いを説明的に表現した**通称**であり、セコイアの生物学的性とは無関係です。


 なお、半田山植物園内には、『セコイア』、『セコイアメスギ』の樹名板はあるが『セコイアオスギ』は私が知る限りでは見当たらない。『セコイア=セコイアオスギ』という意味で使っているのかどうか尋ねてみようと思う。

2025年12月13日(土)



【連載】チコちゃんに叱られる! B級グルメの『B級』/2本立て映画の思い出

 12月12日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この日は、
  1. B級グルメの『B級』ってなに?
  2. なぜハワイと言えばアロハシャツ?
  3. ラジオにAMとFMがあるのはなぜ?
  4. 【ひだまりの縁側で…】モラルライセンシング
という4つの話題が取り上げられた。本日はこのうちの1.について考察する。

 放送では『B級』とは「2本立て映画の1本目」が正解であると説明された。映画と食文化に詳しい三浦哲哉さん(青山学院大学)&ナレーションによる解説は以下の通り【要約・改変あり】。
  1. 『B級グルメ』とはラーメン、カレー、やきそばなど、気軽に食べられる安くておいしい庶民的な料理のことを指す。
  2. この言葉は1985年に田沢竜次『東京グルメ通信』が出版されてから使われるようになったと言われている。
    • 著者のグルメライターの田沢竜次さんは大の映画好きだった。
    • 低予算で独特な面白さをもつB級映画の『B級』をグルメという言葉と合体させて使った。
  3. B級という言葉には「2本立て映画」の1本目という意味があった。
    • 映画が盛んになった頃、ウィリアム・フォックス社が新しい撮影所『ウエストウッズ・ヒルズ撮影所』を建設。最新設備・高額なセットなどを備え大規模な映画を制作した。
    • これに伴い、それまで小規模な無声映画の撮影で使われていた『ウエスタン・アヴェニュー撮影所』は取り壊しの危機に。しかし低予算映画を得意としていたソル・M・ワーツェルが低予算映画も続けるべきと言ったことをきっかけに存続することになった。
    • そこで2つの撮影所を区別するために、ウエストウッズ・ヒルズ撮影所を『A地域』、ウエスタン・アヴェニュー撮影所を『B地域』と呼び、それぞれで作られた映画を『Aピクチャー』、『Bピクチャー』と呼ぶようになった。
    • 1929年アメリカで株価の大暴落、大恐慌が起こり、映画業界にもその影響が及び、週間平均観客数は約8000万人から約5500万人へとおよそ3割減少した。
    • そこで観客を取り戻すために『2本立て映画』が行われるようになった。この2本立ての1本目に前座の低予算映画を入れることで「1本の料金で2本まとめて楽しめる」というお得感を出した。
      • Aピクチャーは『オズの魔法使』や『風と共に去りぬ』など万人受けするミュージカルやロマンスが主流。上演時間は90分以上。撮影期間6週間以上。平均予算は現在の日本円換算で10億円以上。
      • Bピクチャーはスピード感のあるアクション物やシリーズ物を得意としており、ホラーや犯罪映画などAピクチャーでは扱いにくいテーマが多く、上映時間は60分程度。撮影期間は5日~2週間、平均予算は約1500万円~5億円。
      • この2本立て企画により、1933年に5000万人まで落ち込んでいた週間平均観客数も1940年代には8000万人以上まで回復した。
    • 2本立て映画が広まることで『Aピクチャー』『Bピクチャー』という言葉が観客にも広まるようになり、日本では『A級映画』『B級映画』と呼ばれるようになった。1948年の日本の映画雑誌にも『B級映画』という言葉が登場している。
    • その後2本立て映画のシステムは徐々に消えていったが、「低予算で面白い」という意味での『B級映画』という言葉は残った。
    • 放送ではB級映画が予算を減らすテクニックとして2点が紹介された。
      • B級映画では、A級映画のシーンの一部を使い回し予算を減らしている。
      • B級映画は照明を減らし暗闇を残すことで背景の美術や装飾を外す。
    • B級映画の「安い・早い・面白い」という特徴が世の中に広まり、その共通点に注目した映画好きのグルメライターによって「安い・早い・おいしい」という意味の『B級グルメ』という言葉が生まれた。


 ここからは私の感想・考察を述べる。

 まず私自身が『B級グルメ』という言葉はB-1グランプリで『津山ホルモンうどん』や『ひるぜん焼そば』が紹介された2011年以降のことであり、それまでは関心が無かった。なお、これら2品のほか『』もB級グルメの1つであるが、「2011年にはB-1グランプリに「日生カキ入りお好み焼き研究会」が参加し、初参加にして9位の成績を収めている。」とウィキペディアに記されているもののその後の消息は不明。以前、岡山マラソンだったか山陽ロードレースだったか忘れたが会場周辺の出店で何度か味わったことがあった。

 放送でも紹介されたように、『B級グルメ』という言葉は田沢竜次が雑誌『angle』に連載した記事をもとに、『東京グルメ通信 B級グルメの逆襲』(主婦と生活社)を刊行されたのがきっかけとなっているが、特に商標権などは設定されておらず、意味も多少変遷しているようだ。ウィキペディアによれば、
  • 文藝春秋発行の『B級グルメのこれが美味しい!』によると、かつては、5大丼(天丼・うな丼・カツ丼・牛丼・親子丼)と3大ライス(カレーライス・チキンライス・ハヤシライス)を指す言葉であったという。
  • B級グルメの定義は様々であり、
    • いわゆるA級、1級品より低い、2級品の料理を指す
    • 一定の地域で複数の店舗で提供され、地域の人間によって親しまれ日常的に食されている美味しくて手頃な価格の地域独特の料理
    • まちおこしとの関係からみた「B級グルメ」とは、昨今のB級グルメの火付け役である「B-1グランプリ」及び「愛Bリーグ」が定義する、安くて美味しい地元で愛されている食べ物
    といった定義が行われている。
  • 一部の自治体は、大切にしたいと考える地元で獲れる食材や生産される食品・飲料を「A級グルメ」と位置づけ、2018年11月13日に「にっぽんA級(永久)グルメのまち連合」設立を発表した。発足時点で参加したのは5市町(島根県邑南町と西ノ島町、福井県小浜市、宮崎県都農町、北海道鹿部町)。


 放送では『2本立て映画』が取り上げられていたが、私が子どもの頃に観た映画の中で特に印象に残っているのは、虫プロの『展覧会の絵』というアニメだった。今でも有料動画で観られるようだが、ザッと検索したところ、私が劇場で観た作品とは異なっているようである。
 高校時代は渋谷にあった『東急名画座』で何度も映画を観ていたがこれは『1本立て』だった。

 大学時代には、
祇園会館で何度か2本立て映画を観た。リンク先によれば、
2012年3月30日まで、映画館として運営されていた。
二本立て興行、飲食物もちこみ自由、入れ替えなし、途中入退場自由という昭和のレトロなスタイルを保ち続けた日本国内の中でも稀有な名画座であった。上映内容は邦画、ハリウッド娯楽ものなど過去の人気作品を幅広く取り上げ、ジャンルにこだわらず上映された。
とのことであったが、放送で紹介されたA映画、B映画の2本ではなく、A映画2本が上映されていたように思う。これにより観たい映画1本と別にもう1本、私が知らない映画、あるいはタイトルだけからは興味が持てそうもないような映画を観ることになる。場合によってはその「もう1本」のほうが感動したこともあった。記憶に残っているのは以下の作品であり、いずれも1本だけで上映されていたらたぶん観に行かなかったと思う。
  • シャーロック・ホームズの冒険(1970年)
    →シャーロック・ホームズのドラマや映画は大概観ているが、私はこの作品が一番気に入っている。
  • 小さな恋のメロディー
  • メリーポピンズ


 次回に続く。