【思ったこと】
980113(火) [心理]質問紙型の性格検査を考える(その3)検査のなりたち 今回は一例として「中華料理が好きな性格」テストを作るにはどうしたらよいか、簡単にふれてみることにしたい(そういう性格が本当にあるかどうかについては後述する)。 まず、専門家を含めて複数の人に、「中華料理が好きな性格」の人はどんな料理を好むかディスカッションをしてもらう。必要があれば何百人の人にアンケートをとってもよい。そして、予備的に次のような料理リストを作る(但し、今回ここに掲げた料理名は、全く思いつきによるものである)。そしてそのうえで、「好き」か「嫌い」か「どちらとも言えない・わからない」かを何百人もの人に答えてもらう。
もし、単に合計点を適当に5段階に分けて適当な評価文をつけるだけだったら、週刊誌の心理占いと対して変わらない。 科学的な心理テストの場合には、ここでさらに、各質問項目の妥当性を検討していく。但し、そこから先は理屈による議論ではなく、回答者の多数決の原理で決めていく。具体的には、各質問項目について、全体で高得点をとった者と低得点をとったもので回答傾向に違いがあるかどうかを調べる。例えば、「ラーメンが好きだ」と答えた者が、高得点者でも低得点者でも同じように90%以上あったとする。となると「ラーメンが好きか嫌いか」という質問をすることは得点の高低に何の影響も与えない冗長な質問ということになるので、除外されることになる。同様に「フカヒレスープ」について、80%以上は実際には食べたことがなく「わからない」と答えたとすれば、これも一般性に欠ける質問項目なので除外される。このようにして、全体で測ろうとしている傾向と一致する質問項目だけが淘汰されていくのである。 もうひとつ、傾向の強弱は、得点の分布に基づいて決められる。週刊誌などに掲載される占い的な「心理テスト」では、制作者が「15点以上は『強い傾向』、5点未満は『弱い傾向』」などと勝手に決めてしまうが、もしかしたら12点以下の回答者が全体の1割にも満たないという可能性もある。その場合は、5点未満ではなく例えば14点以下が「弱い傾向」であるというように修正されなければならない。 以上に述べたことのうち、質問項目が淘汰されるプロセスは「項目分析」、傾向の基準を決めるプロセスは「標準化」などと呼ばれるが、あくまで、科学的な質問紙性格検査をつくる上でのごく一部のプロセスを紹介したにすぎない。 しかし、このようなプロセスをへたとしても、そもそも測ること自体に妥当性があるのか、それによって何か新しい発見があるのか、また、結果の解釈で誤解や悪用が生じる恐れはないかといった問題が残っている。これについては、不定期更新で次回以降に述べたいと思う。 |
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※“..”は原文そのまま。他は長谷川による要約メモ。【 】は長谷川によるコメント。誤記もありうるので、言及される場合は必ず元記事を確認してください。
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