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2月9日(月)

【思ったこと(1)】

980209(月)
[一般]名護市長選挙後の政府の対応で思ったこと
 テレビや新聞の各種報道によれば、沖縄県名護市長選挙でヘリポート基地建設容認派の岸本氏が当選したことを受けて、政府は、沖縄振興策の「凍結」解除の方針を決めたという。また鈴木宗男・北海道・沖縄開発庁長官は9日、「国益、さらには国策に協力いただいた場合には当然予算の傾斜配分等があってしかるべきだ。」として、名護市が基地を受け入れれば予算の重点配分などの優遇措置をとるとの方針を示したという。

 「〜したら〜を与える」というように、特定の行動に対して具体的な結果を与えること自体は行動分析学の基本である。ただ、誤解がないように言っておくが、行動分析学というのは何でもかんでも餌でつって行動を改善しようという学問ではない。問題なのは、与える結果の質と与える形式である。
 行動の結果にも、その行動にビルトインされた本質的な結果と、第三者が付加した結果がある。「基地受け入れ」に対して「予算重点配分」という結果を与えるというのは後者のケースであって、この場合には、そもそも強化される行動が最終的にどういう本質的結果をもたらすものであるのかを十分に考慮したうえで、結果を付加することが必要である。

 沖縄の基地にしても、昨今取りざたされている超低空飛行訓練にしても、「安保条約で認められているから」という説明があるだけで、それが本質的に日本の安全保障に役立つものであるのかどうか、という議論がなされてこない。
 もっともこれを深めていくと、結局は「日本の安全保障にとって安保条約は最善の選択であるか」という議論に行き着く。そのさいには、「アメリカは日本の番犬なのか」、「アメリカは本当に自国の兵士を犠牲にしてまで日本を守ってくれるのか」といったことも考えていったほうがよさそうである。
【思ったこと(2)】

980209(月)
[一般]エホバの輸血拒否問題と自己決定権
 エホバの証人」の信者だった主婦が「信仰上の理由から輸血を拒否したのに、手術の際に無断で輸血を受けて精神的な苦痛を受けた」と主張して、遺族が病院側に損害賠償を求めていた控訴審で、東京高裁は9日、「医師には、ほかに救命手段がない事態になれば輸血する、という治療方針の説明を怠った違法がある」と述べ、1200万円の請求に対して約55万円の支払いを命じる判決を出した。「公序良俗に反して無効」とした一審判決と異なり、「.....尊厳死を選択する自由も含めて、各個人が有する自己の人生のあり方は自らが決定するという自己決定権に由来する」との判断を示したという[以上、朝日2/10から長谷川が要約]。

 この判決は一審と異なって、自分のことは自分で決める権利を最大限に尊重しているように思える。ただ、自己決定権と親権とは異なるから、信者の親が自分の子どもの手術に際して輸血を拒否する権利は認められていないものと思われる。
 問題は、「輸血の拒否」が「公序良俗に反する」かどうかであろう。この日記で先日話題にした「マインドコントロール」との関連も考えていく必要がある。一般論として信者が非常に高齢であって、手術の成否にかかわらず余命が限られていることが明らかである場合には、たとえ極端な迷信や誤信であっても、患者の意志を最大限に尊重したほうがよいかと思う。いっぽう、信者が二十代、三十代である場合には、輸血によって命が助かりそれを契機に「輸血拒否」という非科学的で公序良俗に反する度合いがきわめて大きい判断の誤りに気づくこともありうる。

 「エホバ」の信者は、希に後輩や学生のなかにもいる。もう20年近くも前になるが、エホバのパンフレットに「大昔に比べると大地震の回数が増えたり疫病の死者が大幅に増加しており、これは○○の前兆である」と書かれてあったことについて、信者と論争をしたことがある。私の主張は、「観測態勢が整備されれば、居住地以外での大地震も確実に察知できるので回数が増えたとしても驚くにはあたらない。また、村落単位で孤立的に生活していた時代に比べ、大都市に多くの人が集まって生活するようになれば、疫病が広まりやすくなるのも当然。」というようなものであった。相手方は、本部に問い合わせると言っていたが、結局、説得力のある回答は得られなかった。

 エホバは、霊感商法に関与している某団体と違って、ひじょうに純粋な強い信仰心を持った人々の集まりであるとは思う。しかし、赤ちゃんを背負って布教活動をする姿は、少々度が過ぎる。本当に正しい考えであるならば、無理して広めなくても、自然にみんなが認めていくはずだと思うのだが。

上記について、信者の方からメイルをいただいてもお返事は差し上げる余裕はありません。反論は御自分のホームページでどうぞ。念のため。
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※“..”は原文そのまま。他は長谷川による要約メモ。【 】は長谷川によるコメント。誤記もありうるので、言及される場合は必ず元記事を確認してください。