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昨日の日記

4月15日(水)

【思ったこと】
980415(水)[一般]セクハラとアカハラ
 昼休みに渡辺和子・京都産業大教授の「キャンパス・セクハラ」についての講演会があるというので聴きに行った。それほど広い教室ではなかったものの、会場はほぼ満員で、慌てて資料のコピーを追加するほどの盛況であった。
 話はキャンパス・セクハラの定義づけから始まり、セクハラの種類、裁判の現状、なかなか告発できない理由などが述べられ、最後に対策について、いくつかの提言があった。
 セクハラ概念の基本的なところは理解できたが、講演時間が1時間に限られていたせいもあり、果たして、大学内で女性の職員、大学院生、学部生が受けるもろもろの差別や干渉をすべてセクハラと片づけてしまってよいものか、むしろ、もっと根源的に、教官と学生の間に生じる過度の主従関係のほうに問題があるのではないか(アカデミック・ハラスメント=「アカハラ」)という印象を最後まで消し去ることができなかった。

 たとえば大学内でよく問題になるのが、大学院生と教授との関係である。名誉棄損で訴えられても困るので具体的な例は出せないけれど、教授の中には、学位審査の権限は自分にありということをチラつかせながら、研究とは全く関係のない雑用まで押しつける反面、演習は平気で遅刻し、世間話と自分の研究の自慢話だけするという特殊な例が全くないとは言い切れない。そういう教授を大学に置いておくシステムそのものにも問題があるかもしれないし、そういう教授を選んだ院生側にも問題があるかもしれないが、だからと言って放置してよいというものでもなかろう。ただ、そういう形で雑用を押しつけられた院生がたまたま女性であったからといって、直ちにセクハラと言い切ってしまってよいものか。院生が男性だったら何を押しつけてもよいのか、という問題をきっちりと考えていく必要があるだろう。
 さいきん学内で問題を感じるのが事務室内の喫煙である。岡大では、事務局本部内は、学長の号令のせいか全面禁煙(喫煙室は別にあり)になっているのだが、某学部の事務室の一部で、未だにタバコの煙がもうもうとたっている。同じ部屋には女性事務官も居るが、事務長補佐とか係長がヘビースモーカーであると、なかなか苦情を出しにくい環境があるように思う。ただ、この場合も、主たる被害者が若い女性事務官であったとしても、セクハラ問題として位置づけるのではなく、非喫煙者のきれいな空気を吸う権利をどうやって守るのかという別の次元の人権問題として考えていく必要がある。

 もちろん全国レベルで見れば、性的性質の要求が行われるという意味でのセクハラはかなりの規模で広がっているものと思うが、大学内で受ける種々の差別、不公平、不当な要求、屈辱...といったすべてを根源的にセクハラに集約してしまう風潮があるとすれば、多少問題があるようにも思う。(まあ、私の学科など、現員12名の教官のうち女性が5名、3講座中2講座では女性教授が筆頭になっていることから、少なくとも組織構造から派生するセクハラは起こり得ないと思うのだが)。

 とはいえ、セクハラ問題はアピール効果が大きい。当初セクハラとして問題視されたことが、結果的に、上記のような教授の指導権限濫用の問題とか非喫煙者保護の問題として発展し注目されるようになるということであれば、それもよかろうと思う。学内でも、全国レベルでも、ネットワークが作られている(全国レベルのネットは、こちら)ということなので、今後ときどきアクセスして勉強させていただきたいと思っている。
【ちょっと思ったこと】
980415(水)[一般]金属バット殺害事件判決を前に
 一昨年の11月、家庭内で暴力をふるう息子を父親が金属バットで殺害した「金属バット殺害事件」で殺人の罪に問われている香川被告(53)に対する東京地裁判決が17日に言い渡されるという。この事件では、あまりにもひどい息子の暴力の実態とともに、精神科医やカウンセラーの対応のまずさが取りざたされている。判決そのものがどのような内容になるにせよ、カウンセラーの役割、あり方についてきっちり考えてみるきっかけとなるであろう。

 何度か指摘したように、カウンセラーは万能ではない。来談者の話をだまって聞くだけのカウンセリングも、特定のケースでは十分な癒しになるかもしれないが、家庭内や学校内の暴力の抑止には殆ど無力であろう。環境条件を改善せずにただ「スクール・カウンセラー」の数だけ増やしても、非行・犯罪の解決には結びつかないことを知ってもらいたい。

 いまの時代、家具の修理はもとより、車の洗車とワックス掛けから家の中の大掃除に至るまで何でも業者に頼ることができる。しかし、それと同じ感覚で、「困ったことは何でもカウンセラーに」と思われたのでは困ってしまう。大学の心理学専門課程さえ卒業していないような正体不明の「カウンセラー」を大量生産したり、悩みのある人だけが相談に行くシステムを作ることよりも、中学高校の授業の一環として、人間行動についての基本的な知識を全員に身につけさせることのほうが遙かに効果が大きいと思うのだが...。
【新しく知ったこと】
 地球儀の地名が英米式の読みから現地読みに切り替えられる傾向。「マゼラン海峡」が「マガリャネス海峡」、「メナム川(「メナム」現地では単に「川」を意味する)」が「チャオプラヤ川」、「揚子江」は「長江(チャンチャン)」など。[4/16 朝日]【「エヴェレスト」は「チョモランマ」とするのか「サガルマタ」とするのかは新聞には書いていなかった】
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