7月12日(日)
【ちょっと思ったこと(1)】
980712(日)[生活]参院選挙:私もひとこと
- 今回の選挙では最後まで対立軸が明確にならなかったように思う。資本主義の枠内で路線を選択するならば、「大きな政府論」か「小さな政府論」か、このいずれしか無い。あとはテクニックの問題で、国民全体の選択に委ねるよりもむしろ経済専門家が知恵を絞って決めたほうが良いことだ。
- 「大きな政府論」は、高福祉高負担。政府主導で規制や補助金つきの行政指導を行い、大規模な公共事業で活性化をはかる。「小さな政府論」では、政府は主役とはならず、国民の健全で創造的な経済活動や自助努力を支援する応援団役に徹する。大幅減税が可能である反面、受益者負担が原則で、自助努力のための支出は大幅に増える。
- 幹事クリタのコーカイ日誌さんが7/10の日記で、「減税と言わない政党に投票したい」と主張されたのはまことにもっともであった。「減税」を本当に主張できるのは「小さな政府論」。「減税も福祉も両方やります」というのは虫が良すぎる。「恒久減税実現のために赤字国債」などというのは朝三暮四、言語道断だ。
- 「大きな政府論」を一貫して主張したのは共産党(上記の「補助金」や公共事業についての考え方はちょっと違っているだろうが)。「小さな政府論」は自由党、自民党の反執行部派の一部ということになろう。加藤紘一幹事長は「小さな政府論」の立場に立っているはずなのだが、与党のしがらみ、社民との連立への配慮から、その主張を現実路線に活かせなかった。
- 「小さな政府論」を主張する人々は、なぜ憲法改正とか、歴史教育見直しといった保守的な思想を貫く人と連携したがるのだろうか。このあたりに、経済と思想との捻れ現象がおこっているように思えてならない。
- 捻れ現象といえば、農業従事者と財界が一致して自民党を支持してきたのもまことに奇妙な支配構造だった。農業従事者の本音は、農産物の自由化の阻止、食管制度維持、補助金獲得という「大きな政府論」の立場では無かったのか。これに大規模公共事業による利益誘導をねらう地方財界が結びついて、巨大な自民党支持層を形成していった。しかしこれは、規制緩和、競争原理導入をめざす勢力とは相容れない主張内容であるはずだ。
- 今回、自民党が農村部で優勢を保つ反面、東京、埼玉、神奈川、愛知、大阪、兵庫、京都で歴史的な大敗北を喫したことは、もはや農民・財界による連合支配が限界に達したことを示しているのかもしれない。となると今後は、補助金や大規模公共事業の導入を求める旧来の保守勢力、「小さな政府」のもとで規制緩和、競争原理の徹底を求める大都市の高中所得者層、「大きな政府」のもとで大企業や高所得者から多めに税金を取り立てて手厚い福祉や保障を求める中低所得者層という3極に分解していくことになるのかもしれない。
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【ちょっと思ったこと(2)】
- 昼食後、妻と娘と一緒に近くの幼稚園に投票に。ここは息子と娘が卒園したところである。建物は昔のままであったが、裏門付近が舗装され通園バスが2台止めてあった。少子化時代を迎えて、遠方からの通園者を呼び寄せる目論見か。もっとも、妻の話では、通園バスに乗って通ってくる子供はあまり居ないそうである。この幼稚園は特段、英才教育のようなものをやっているわけではない。息子を長崎の幼稚園から転入させるときに園長さんに面談したことがあるけれど、「ここは何も特別なことをやっていないのが取り柄の幼稚園だ」と言っていた。バス代を余計に払ってまでわざわざ来させる親もあまり居ないのだろう。
なおこの幼稚園は私立だが、近くには公立の幼稚園もある。妻に聞いたところでは、公立よりは人気があるのだという。私立幼稚園の場合は、父兄が大挙して「あの先生は教育不熱心だから辞めさせろ」などというと園側もあるていど要望を聞き入れざるを得ない。公立の場合は、親たちが何と言っても要望など聞き入れない。その違いによるのだそうだ。
- うちの夫婦の面白いところは、お互いに誰(どの政党)に投票するのか、投票したのかを一言も言わないこと。どちらも無党派層であることは確かなんだが、相互不干渉。結婚以来15年、ずっと続いている。政治談義をする夫婦というのはどのぐらいおられるのだろうか。
- 21時すぎに開票速報をちらっと見たが、全くつまらない。そもそも「開票速報」というのは比例区や選挙区の開票状況を数字で示すものであったはずだ。ところが、まだそういう数字が出ないうちから、バタバタと当選確実者が出てくる。有権者自身に真っ先に得票状況が開示されるべきなのに、これではマスコミだけ先に投票箱の中身を覗いているような印象を与える。要するに有権者不在の「開票」速報だ。
- 開票直後の各系列局の当確者数はマチマチであった。合計の当確者数を21時10分頃の数値で比較したところ、
- TV朝日系 41名
- NNN系 38名
- FNN系 32名
- TV東京系 28名
- TBS系 23名
- NHK 10名
と、大きく隔たっていた。おそらくNHKは選挙区のみの当確者数を、いっぽうTV朝日やNNNなどは、比例区の各党の最低当選ライン以上の分を、どんぶり勘定で加えていたのではないかと思う。そのぐらいの当確判定だったら私でも出せる。23時以降の開票速報では、どの局も大差は無くなってきていた。
- 開票速報の最中の評論家による「解説」、党代表による討論などは耳障りこのうえない。未確定区の選挙区の最新の得票数と局独自の最終得票予測だけを示せば十分。党の正式見解が出ないうちから、睡眠不足の連中があれやこれやと自党に都合のよい解釈を述べてもあまり情報的価値は無い。
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【スクラップブック(翌日朝まで、“ ”部分は原文そのまま。他は長谷川による要約。【 】部分は簡単なコメント。)】
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