じぶん更新日記

1999年5月6日開設
Y.Hasegawa
[今日の写真] 昨日の日記に引き続いて、雨上がりの朝の大学構内の景色。

1月18日(火)

【思ったこと】
_00118(火)[心理]ジュニア行動分析学のススメ(2):ある天体に出現した動物の最良の適応方略を考えると..

 昨日の日記の続き。きょうはまず、ある天体に、何種類かの動く生き物が居たとして、環境が変化する中でどう淘汰されていくかを考えてみることにしたい。

 ここで一口に環境の変化といっても
  1. まったくデタラメで次に何が起こるか予測できない変化に満ちている
  2. 特定の環境のもとで特定の動きをすれば、100%規則的な変化が環境側に起きる。
  3. 特定の環境のもとで特定の動きをすると、ある程度まで規則性のある変化が起きる。
という3通りが考えられる。このうち1.のケースでは、どういう動きをしようがしまいが、次に起こることが全くデタラメなのでさっぱり予想がつかない。おそらくそういう状況では、経験はもとより、論理も推論も何の役にも立たないので、知的生命が誕生する可能性も皆無に近いと考えられる。

 次に2番目のケースでは、環境は時計の針のように規則的に変化する。この場合、それぞれの変化に対応した最適な動きが一通りに決まっているので、何のバリエーションもいらない。もしこういう世界があったとしたら、昆虫のように、「刺激→反応」の本能的な仕組みを備えた生き物が最も繁栄するに違いないだろう。

 第3のケースでは、第2と同様に規則的な応答をするしくみもある程度は役に立つ。しかし、それに加えて、「結果をさぐりながら動く」という対処のできる動物こそがもっとも繁栄するに違いない。スキナーの強化や随伴性の概念も、おそらく、そうした進化のプロセスを念頭に置いたうえで定式化されていったものと思われる。

 行動随伴性の最も基本的な着想は、この地球上の動物が、環境に能動的に、かつ多様に働きかける性質をもって進化したものであると想定した上で、
  1. 有用な事象をもたらす働きかけは持続し、かつ増加する。
  2. 有用な事象を消滅させてしまう働きかけは、減少し、中止される。
  3. 有害な事象をもたらすような働きかけは、減少し、中止される。
  4. 有害な事象を取り除くような働きかけは持続し、かつ増加する。
という最適な適応方略をとったが故に子孫を残してきたと考え、これを行動随伴性の形で発展、整備したものであると考えられる。以上の思考実験から分かるように、動物の行動を説明するにあたって、「働きかけの自発」と「その効果」という概念を導入することはごく自然な流れであり、多くの人に受け入れ可能な着想であると見なすことができる。

 しかし、上記の「働きかけの効果」は第三者から見てもそう簡単に検証できるものではない。下等な動物に「効果検証装置」が備わっていると考えるのは現実的でない。さらに、有用とか有害の定義も曖昧なものになってしまう。じっさい、我々人間でも、ジンクスとか迷信行動と言われる現象があるように、本当は何の効果も無いしぐさを有効であるように見誤ってしまうことがあるし、取りすぎれば有害となるような糖分や脂肪分、お酒やタバコなどを摂取し続けてしまう。

 そこで考え出されたのが
働きかけ→直後の結果

という随伴性の考え方だ。但し、
  • この場合の「働きかけ」とは最初から効果が定まったものではない。少なくともそれが自発される当初においては、「何が起こるか分からない」という無目的・無定型なもの。直後に生じた変化の内容によって、増加することもあれば減少することもある。またより精緻化したり複雑に階層化したりする。
  • 「結果」というのも、働きかけから因果法則に基づいて必然的に生じた「結果」ではない。まったく偶然的に接近して生じた事象も「結果」として同じように作用する。随伴性の原語にあたる「contingency」には
    偶然。偶発した事件。
    という意味がこめられている点を忘れてはならない。
【ちょっと思ったこと】
  •  1/19の朝日新聞記事によれば、読売新聞は4日付の一面で「本社、広告掲載見合わせ」との見出しで、「週刊現代」と「週刊アサヒ芸能」の広告掲載を糖分の間見合わせるとの記事を載せたという。理由は、性表現など「家庭に配れぬ扇情的な広告」を排除するためということのようだが、表現の自由との関係で種々の議論をよんでいるという。

     記事にあった読売新聞の「見出し原案と紙面上の修正例」というのがなかなか興味深い。
    • 愛人SEX生活→愛人HONEY生活
    • 絶頂ビデオ→秘蔵ビデオ
    • タレント乱交→タレント乱宴
    • 『隣の不倫妻』9人生スケベ白状→『隣の不倫妻』9人裏エッチ白状!
    少なくとも上記の修正例を見る限り、左の原案に比べて右側が修正になっているとは思えないのだが...。
    ちなみに同日朝日新聞に『外見だけで人を判断する技術』という本の広告があったが、その中の「一重まぶたの人は頑固」などとのほうがむしろ根拠の乏しい差別表現として問題になりそうな気がする。
【スクラップブック】
  • 小渕首相の指摘諮問機関「21世紀日本の構想」懇談会(座長・河合隼雄国際日本文化研究センター所長)は18日、首相に最終報告を提出。そのなかで
    社会人全員が実用英語を使いこなせるなど具体的な目標を設定する。公的機関の刊行物などは和英両語での作成を義務づけるとともに、長期的には英語を第二公用語とすることを議論する。
    として、英語を第2公用語とすることの議論を提言した。

  • オウム真理教は18日、教団の名称を「アレフ」に改称するなどの見解を出した。
【今日の畑仕事】
夕食後にチンゲンサイと小松菜を収穫。