じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 _60225(土)[心理]冬ソナを振り返る(6)【第2話】放送室での誤解とは何だったのか? 第2話を初めて観た時に私がよく分からなかったのは、放送室でサンヒョクがチュンサンを責めるシーンであった。その日の当番であったユジンは、部屋に入ろうとして2人の言い争いをドアの隙間から聞いてしまう。サンヒョクへの嫌がらせのために利用されたと思ったユジンはチュンサンの頬を打ち、土曜日にチュンサンと一緒に行くはずだった映画の約束を断った。じっさいには、映画に行かなかったからこそ山荘でのキャンプに参加できたわけだし、山荘に行かなければポラリスを眺める体験も無かったはずだから、人生、何がどう展開するか分からない見本のようなものだ。 さて、最初に観た時に分からなかったのは、チュンサンがユジンに与えた誤解とは何だったのかということである。疑問を整理するために、まず、会話の中味を韓国盤英語字幕と日本語吹き替えで引用しておく。 サンヒョク: No private lessons today? 今日は教わりにいかないのか?ユジンが2人の会話の中味を聞き取れたのはおそらく、チュンサンの「I wanted to get to know him better. どんな人だか知りたくて。」以降であろう。従ってユジンは、この言い争いが、チュンサンがキム・ジヌに会っていることではなく、すべてユジン自身に関わるものだと思い込んでしまった。これが誤解の中味であり、山荘で「このあいだのことは誤解だ。」とチュンサンがユジンに言ったのもそのことを意味していたのではないかと思っていた。 しかし会話では、サンヒョクが「...お前がユジンに近づいたのはそのためだろ? 好きでもないくせに。僕に見せつけるためだけに。そうなんだろう?」と問いつめた時に、チュンサンは明らかに「そうだ。」と答えている。この部分は誤解でも何でもなく真実の証言であると解釈しなければならない。 では、本当は何が真実で何が誤解だったのだろうか。後になってやっと気づいた私自身の解釈は チュンサンは当初、サンヒョクに見せつけるためだけにユジンに近づいた。少なくとも、ピアノを弾いた後でナミソムに誘い出した時の動機はそこにあった。しかし、ナミソムでの体験、その後の焼却炉での会話を通じてユジンを本気で好きになり、ついには生涯で初めて、「一緒に映画を見に行かない?」と相手を誘うようになった。つまり、「利用したのがきっかけであったことは認めるが、今は本気なのだ」が真実であるのに、「今も利用している」と思い込まれてしまったのが誤解の内容である、という解釈である。 もしユジンが、放送室での言い争いの発端がユジンとチュンサンのことではなく、チュンサンがキム・ジヌの研究室を訪ねていたことにあったと知ったら、事態は全く別の方向に進展していたかもしれない。しかし、ユジンにとっての関心事はもっぱら、チュンサンが本気であったのか、それとも自分を利用していたのかという部分だけにあった。だから、山荘で、チュンサンが本気であったということを確信した後は(*)、何がきっかけであの言い争いが起こったのかということまで尋ねようとはしなかったのである。 [※]NHK吹き替え版では、山の中でチュンサンが「本気だったんだ」と告げる部分がカットされているため、2人がなぜ仲直りしたのか、しっくりしない展開になっている。 |