じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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3月4日(土)

【思ったこと】
_60304(土)[心理]冬ソナを振り返る(8)【第2話】大晦日までの時系列を振り返る

 冬ソナの第2話は、大晦日の晩、ユジンとの待ち合わせ場所に駆けつけていたチュンサンが交通事故に巻き込まれるという悲しい展開で終わる。これはユジンにとっては、その後の人生のすべてを左右してしまうほどの衝撃的な事件であった。第14話の「空港シーン」のあと、ホテルでユジンはこんなふうに語っている(吹き替え版)。
ユジン:どうしても私、死んだとは信じたくなかったから...。そんなわけないのにね。私と会う約束してたんだから。ちゃんと約束したんだから。あなたが約束破るわけないのに。
 しかし、私が初めてこのドラマを観た時に疑問に思ったのは、チュンサンは大晦日に本当に約束を守ろうとしていたのかということであった。

 確かに大晦日の夜、チュンサンは、母親と一緒に空港に向かう途中、車を飛び出してユジンに会いに行こうとした。しかしこれは、コートの中のピンクの手袋を見つけて約束していたことに気づいた結果であって、その直前までは、約束していたこと自体すっかり忘れてしまっていたようにも思えた。

 もちろん、これが、初雪の日のデートの夜、ユジンの家で、例のアルバムを見たことによる衝撃の大きさによるものであることは間違いない。しかしだからと言って、ユジンに何の連絡もせずにチュンチョンを去ってしまってよいものだろうか。

 この疑問を解決するためには、まず、「山荘事件」のあとの時系列を整理してみる必要があるように思う。
  1. 焼却炉の落ち葉を燃やしながら、初雪の日の計画を語り合う(実質的には会う約束をする)
  2. チュンサンが郵便局まで「例のテープ」を発送に行くシーン【吹き替え版ではカット】
  3. 雪の積もったナミソムでデート
  4. デートの帰り、「好きな色は?」、「好きな季節は?」と語り合うシーン【吹き替え版ではカット】
  5. チュンサンがユジンの家で夕食をご馳走になろうとするが、「3人が写った写真」を見て、挨拶もせずにユジンの家を飛び出す。
  6. チュンサンはそのままキム・ジヌに会いに行き、3人の関係を尋ねる。
  7. チュンサン、母親に電話。アメリカに帰る意思を伝える。
  8. 大晦日の日、ユジン、会いに出かける。
  9. チュンサン、空港に向かう途中で、ポケットにピンクの手袋が入っていることに気づく。さらに「またのお越しを!チュンチョン」という道路看板を見る。
  10. チュンサン、どうしても人に会わなければならないので車を停めてくれというが、飛行機に間に合わないのでダメだと言われる【吹き替え版ではカット】
  11. チュンサン、ドアを勝手に開けて車から飛び出し、ユジンに会いに行こうとする。
 このほか、第13話で、ユジンへのクリスマスプレゼントに送ったカセットテープの練習版?が「発見」されるシーンがあるが、チュンサンがいつ頃、カセットテープへの録音を入れようとしていたのかも重要なカギとなるだろう。




 まず、「山荘事件」の日付であるが、楽天日記(3/4)に記したように、月齢から推測すれば、あの日は、1991年の12月21日か、1992年の12月10日であったことがほぼ確定できる。ストーリーの流れから言っても、あの日は12月中旬であったと考えるのが自然である。

 次に上記1.だが、これは冬休み前の登校日における会話なので12月24日以前ではないかと推測される。もっとも韓国の高校の冬休みがいつから始まるのか調べみないと正確なことは言えない(どっちにしても、大晦日の翌日、つまり元日が登校日になっているのは明らかに不自然ではあるが)。

 次に2.から6.はすべて同じ日の出来事である。ここで重要な点は、例のカセットテープが、ナミソムでのデートより前に完成し郵送されたということだ。また、ナミソムのデート自体は、日にちを約束したものではない。その日の天候で偶然に決まった日ということになる。もう1つ、例のカセットテープは元旦のユジンの家に届けられている。年末には配達の遅延があると局員に言われていたことからみて、おおむね12月24日から28日頃に郵送されたものと推測される。




 冬ソナに限らず、テレビドラマの撮影は時間に追われ、しかも物語上の時系列とは逆の順序で撮影されることも多い()。とうぜんツッコミどころ満載となる。2月24日付けの楽天日記にも書いたが、こういう時系列上の矛盾を発見した時に視聴者がとりうる態度としては
  • 1つは、「そんなこと、どうでもエエじゃないか」
  • 2つめは、「こんな間違いがあったよ」とツッコミを入れて楽しむ。
  • 3つめは、すべてを事実であると受け入れた上で、それらと矛盾しないような新たな説を考案する。
という3通りがある。それでもなお納得がいかないときは、こちらで19話以降や21話以降について試みたように、自分で勝手にシナリオを書き換えてしまうというのも1つの楽しみ方であろう。次回は、「書き換え」も視野に入れながら、「10年前」の最後の展開部分を考えてみたいと思う。


ユン・ソクホ監督が書いた
●冬のソナタ秘密日記(ISBN:4048945424)

によれば、第1〜2話の実際の撮影は以下の日程で行われている。
  • 2001年12月26日〜28日:山荘(チェンマ山)で2晩徹夜撮影。
  • 2001年12月31日:チュンサンが交通事故に遭うシーン。
  • 2002年1月2日:雪のナミソムで、放送部員がチュンサンを弔うシーン。
  • 2002年1月3日:ファーストキスのシーン←なっなんと、チュンサンを弔った翌日にファーストキス!
  • 2002年1月7日:学校の壁を越えるシーン/チュンチョン駅で放送部員が列車に乗り込むシーン。
  • 2002年1月8日:10年後の撮影開始。監督があらかじめ「ユジンは専門職の女性だから、あまり派手でないヘアスタイルにしなさい」と注文しておいたところ、チェ・ジウ、自慢のロングヘアをばっさり切る。