じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 _60311(土)[心理]冬ソナを振り返る(10)【第2話】チュンサンは大晦日に約束を守ろうとしていたのか? 冬ソナ第2話は、大晦日にユジンと会う約束をしていたチュンサンが、トラックにぶつかって事故「死」するというシーンで終わる。これはユジンにとっては、後の人生を左右する衝撃的な喪失体験であった。 しかし、3月4日の日記にも書いたように、チュンサンは決して、ユジンとの約束を最優先で守ろうとしていたわけではなかった。チュンサンはあの夜、ユジンに何の連絡もせずにチュンチョンを去ろうとして空港に向かっていたのであった。 このあたりの経緯について、『冬のソナタ』時系列あらすじというサイトでは、 しかしチュンサンは、ユジンの亡父が母のかつての恋人ヒョンスであったことを知り、自分とユジンが異母兄妹だと誤解してしまう。デートの約束をしていた日に、チュンサンは黙って春川から去ろうとする。思い直してユジンの待つ場所へ急ぐ途中、彼は交通事故に遭った。というように記されている。うーむ、どうだろうか。確かに、チュンサンはユジンの家で、カン・ミヒ(チュンサンの母)とヒョンス(ユジンの父)が腕を組んだ写真を目撃した。しかし、その直後にキム・ジヌの研究室を訪ねた時の会話内容からみて、いくら高校生という未熟さがあっても、異母兄妹であると誤解するのは性急すぎるように思われる。 【冬のソナタ 上』(ISBN:4140054239、204〜205頁)では、この時の会話内容は次のように記されている。 「教授、本当にユジンのお父さんとカン・ミヒさんはお互いのことが好きだったんですか?」チュンサンがここで知り得た情報は、キム・ジヌは自分の父親ではなかったこと(←じつは、...)、カン・ミヒは、ヒョンスが別の女性(=ユジンの母)と結婚した時にチュンチョンを去っていたということだけであった。 また、少なくとも10年前の時点では、ユジンとチュンサンは結婚をめざして交際していたわけではなかった。仮に異母兄妹かもしれないという可能性が出てきたからと言って、何も告げずにチュンチョンを去ろうとはしないはずだ。むしろ、血のつながりがあるかもしれないという親近感のほうが生まれてくるはずであり、その謎を2人だけで探そうとするのが自然ではないだろうか。お互いの悩みを打ち明けられないというのは、初恋のレベルを超えていないためか。 ちなみに、このドラマでは、チュンサンの父親探しは「初恋を成就させる」ための阻害要因として働いているにすぎない。じっさい、最終的にキム・ジヌが父親であると分かった時のチュンサンの反応は「父を捜して三千里」というような感動場面とは全く別物で、怒りと苦痛に満ちたたものであった。 「ジュンサン……、お前は、わたしの息子だ」であるならば、第2話の段階では、「異母兄妹」であるかもしれないというのは、視聴者に対して伏線を張るレベルにとどめておいたほうがよいのではないか。 第2話のラストは、例えば、 ●大晦日の日、母親のカン・ミヒを空港まで見送りに行ったチュンサンは、チュンチョンに戻る途中で、大雪の大渋滞に巻き込まれる。やっと町に着いた時にはまもなく24時になる寸前であった。待ち合わせ場所に急ぐ途中で... という形でも十分ではなかったかと思う。 |