じぶん更新日記1997年5月6日開設Y.Hasegawa |
【思ったこと】
990311(木)[一般]3にまつわる手品・パズル(1) 倉庫代わりに借りた古家への荷物を移動している最中、本棚の奥から、昔買ったパズルや手品の本がいっぱい出てきた。たいがいは、古本屋の100円均一で買ったものだが、ちょっとした頭の体操には好都合だ。先日来「だんご3兄弟」の歌にかこつけて「3」について取り上げてきたので、ここでは「3」にまつわるパズル・手品をいくつかご紹介したいと思う。なお、これらの手品やパズルは複数の本に紹介されていてすでにパブリックな情報となっていると考えられるので、ここではいちいち出典は掲げなかった。もし著作権上の問題があればご指摘いただきたい。 まずは、トランプを3つの山に分ける手品。
次に3つのコップの手品。
次は3つの円についてのパズル。3つの円をお互いに重なるように(集合のベン図になるように)描く。それぞれの領域に1から9までの数字を書き込み、それぞれの円に含まれる4つの数字の合計が16になるようにするにはどうしたらよいか。これは有名な問題らしい。 最後は碁石の移動問題。碁盤に白3個、黒2個の碁石が下のように並んでいる。 ○●○●○ これを、隣り合った2個ずつを左右の位置を変えないように移動し3回の操作で下のように並び替えるにはどうしたらよいか。 ●●○○○ ただし、移動先は碁盤の同じ線上の空いた場所でなければならず、また完成状態の時、碁石の間に隙間があってはならない。 ここで突然思い出したが、3回の操作で完成させる問題の女王と言えば、やはり、天秤でニセ金貨を見つけだす問題だろうか。これは
| |
【思ったこと】
990312(金)[一般]3にまつわる手品・パズル(2):偽金貨検出問題 初めに昨日の3つの円の問題にミスがあったので訂正させていただく。当初「1から9までの数字を書き込み、それぞれの円に含まれる4つの数字の合計が16になるようにするにはどうしたらよいか。」と書いたあと、夕刻に領域が7個しかないことに気づき「1から7まで」と修正したが、これは「1から9まで」のままで良かった。左の図が正解。但しそれぞれの円の中の合計を等しくするだけだったら「1から7まで」でも左図右側のように配置することが可能だ。要するに、2つの集合の共通部分に入れる数値が1つずつ異なるので(ここでは1、2、3)、その増減とバランスをとるように、1個の集合だけに含まれる領域の数(ここでは5、6、7)を1個ずつずらせばよい。3集合の共通集合部分はどんな数でも関係ない。 次に碁石の移動問題。これは、
というように3回の操作で可能だ。 、最後の、天秤でニセ金貨を見つけだす問題だが、「ニセ金貨があるかどうか分からない」場合はn=12個まで、「ニセ金貨が必ずある場合」はn=13個まで検出ができるはずだ。とりあえず「ニセ金貨があるかどうか分からない」というn=12個の場合について考察する。いずれも私のオリジナルの考察であるため、とんでもないミスをおかしている恐れがある。ご指摘いただければ幸いだ。 まず第1回目は12個のうちの8個を2つに分けて計量する。 第1回目の計量で重さが違う場合は「ニセ金貨が必ずある」ことが確定する。ここでは、1回目の計量で重いほうをA、B、C、D、軽いほうをE、F、G、Hと呼ぶことにする。なお1回目に計量で重さが違っていた場合は、残りの金貨は本物であることが確定するのでそれ以上は区別せずすべて「T(rue)」と呼ぶことにする。 左上の図は2回目で、(A、B、E、F)を1つの皿に、DとHおよびすでに本物であることが確定しているT2枚をもう1つの皿に載せて計る方法。ここで
右上の別解は、2回目で(A、B、E)と(C、D、H)を比較する。
いっぽう、第1回目の計量で重さが同じであった時は、1回目に天秤に載せた金貨はすべて本物であることが確定する。そこで2回目は、残されたうちの3個を、1回目で本物であることが確定した3個と比較する。
次回は、上記でなぜ最大値が12枚なのか、また、天秤でなく「バネばかり(台の上に金貨を載せると合計重量を数値で返すもの)」だったら12個から偽金貨を検出するのに何回の操作が最低必要であるかということについて考えてみることにしたい。 バネはかり利用の場合、5回の計量なら偽金貨を検出できることが分かっているのだが4回以下でも可能かどうかは検討していない。どなたか情報をいただければ幸いです。 | |
【思ったこと】
990313(土)[一般]3にまつわる手品・パズル(3):3回で偽金貨検出できる最大枚数 昨日の日記に引き続いて、まず天秤はかりを3回だけ使って偽金貨を検出する問題を考えてみたい。ここでは問題を次のように整理しておく。
次に天秤はかりによって計るとどういう情報が得られるかということ。
まず注目すべきポイントは、1回目の計量の結果である。1回目に2m枚の金貨を計った時に、重さが同じであれば、残りのr枚の中から検出しなければならない。この時点では偽物の有無も、偽物が重いか軽いかも分からないので、細かい証明は省略するが、検出可能な限界はr=4枚であると考えられる。つまり2回目に残った4枚の中から3枚を取り出し、すでに本物であると分かっている3枚と比較するわけだ(昨日の日記参照)。もし5枚以上を残してしまうと、次にお皿に載せる候補を何枚に決めても法則4に抵触してしまう。 このことから、最大可能数は2m+4枚であると結論できる。 いっぽう2mの数だが、これも詳しい証明は省略するが2m=8が限界のようだ。原理的には、2m+1枚まで検出可能なのだが、天秤はかりで一度に計れる枚数は常に偶数でなければならないのでこれは無理。但し、本物であると分かっているコインを1回目の計量前から借りてくることができれば、2m+1も可能となる。 時間が無くなったので、「バネばかり(台の上に金貨を載せると合計重量を数値で返すもの)」で検出する場合、偽物が重いか軽いか最初から分かっている場合についての考察は次回以降とさせていただく。 | |
【思ったこと】
990314(日)[数学]3にまつわる手品・パズル(4):偽金貨検出問題最終回 昨日の日記の続き。最終回として、
まず、バネばかりで計量した場合。この場合は、1回の計量で合計重量のみが数値としてフィードバックされる。ちょっと考えてみた範囲では、合計5回であれば検出可能。4回以下でできるかどうかは不明。
次に、もういちど天秤に話題を戻し、計量に入る前から「本物より重い偽物が必ず1枚ある」と分かっていた場合(「本物より軽い」と分かっていた場合も手順は同じ)について考えてみたい。この時は、昨日の日記に記した法則5: 3枚の中に確実に偽物があることが分かっていて、かつ偽物が本物より重いか軽いかの情報が確認されている時は1回の計量で偽物を検出できるを利用すると27枚の中から検出が可能だ。
もし、「偽物は本物より重い。但し偽物があるかどうか分からない」という条件だったらどうか? この場合は、上記で1回目の計量で9枚ずつの2山が同じだった場合だけを考えればよい。2山が異なる重さであるときは、偽物があるということが確定するからである。つまり全体をn枚とした時
n-9×2-3×2=1を解くと、n=25が最大数ということになる。これで良いと思うのだが、もし重大なミスがあればぜひお教えいただきたいと思います。 ※今回の連載で「3回の計量」というのは、いかに手間取った場合でも3回以内の計量で完結させるという意味であった。より実用的に考えるならば、検出に要する回数の期待値を最少にする手順というものが別にあるはずだ。おそらくこれらの解法も数学的に確立しているはずだ。 | |
【思ったこと(2)】
990315(月)[数学]偽金貨検出問題追記 昨日の日記で、「もし、偽物は本物より重い。但し偽物があるかどうか分からないという条件だったらどうか?」について考察し、 この場合は、上記で1回目の計量で9枚ずつの2山が同じだった場合だけを考えればよい。2山が異なる重さであるときは、偽物があるということが確定するからである。つまり全体をn枚とした時という理由で最大数は25枚であろうと書いたが、がりゅうさんより、 最後に出てきた「最大値は1」というのは1つのお皿に1枚、と言うことで、天秤には2枚皿があるので3回目で2枚検証することができます。というご指摘をいただいた。おっしゃる通りで、2回目までの計量で24枚分が本物であると確定した場合、3回目ではさらに2枚の中から偽物を検出することができる。2枚の重さが異なれば重いほう、同じならば全部本物ということになる。ご指摘ありがとうございました。 |