【思ったこと】 130616(日)人間・植物関係学会2013年度大会(1)食をめぐる諸問題(1)
表記の大会が6月15日(土)と6月16日(日)の2日間にわたり、筑紫女学園中学・高等学校(警固キャンパス))で開催された。
福岡市を訪れたのは、2006年の日本心理学会第70回大会以来7年ぶりであった。全国的に少子高齢化、人口減少が進むなか、福岡市の人口は逆に増えており、こちらによれば、最近になって「 明治22(1889)年の市制施行(人口50,847人)から124年、昭和50(1975)年の100万人突破から38年、政令指定都市では神戸市に次いで6番目の150万人突破となります。」とのことであった。もっとも、私自身は、人の多いところは好まず、ショッピングにも全く興味が無い。今回宿泊した近くには、キャナルシティというのがあったが、入り口近くを通過するのみであった。還暦を過ぎたこともあり、また一年に出張・旅行する回数は5回〜10回程度ということもあって、最近はどの町を訪れても、「ここを訪れるのは人生最後になるかも」という気分になることが多いが、この福岡の町も、定年までに学会・研究会等が再び開かれない限りは、今回が人生最後の訪問ということになるかもしれない。
さて、大会1日目は、午前中の理事会に続いて、午後には、
- 講演1 「『食』からはじまるいのちの教育」
内田産婦人科 助産師 内田美智子氏
- 講演2「自然、生物、そして人」
九州大学農学部 比良松道一氏
という2つの講演が行われた。いずれも「食」に関する話題であり、いっけん「人間・植物関係学会」が「人間・食物関係学会」に変身したのではないかという印象もあったが、人間と植物の最も密接な関係は、植物を食べるということにあり、人間の最も基本的な行動である「食べる」という行為が、現代社会の中でさまざまな形でゆがめられ、これまでの常識が通じなくなってきているということがよく分かった。以下、ご講演中に聞き取った中から特に印象に残ったことを順不同で備忘録代わりに記しておく。
- 家庭での食事で、コンビニ・スーパーから買ってきた総菜等が、お皿に載せられず、パック・トレイに入ったまま提供されることが多い。
- 大学生に対する食事調査によれば、朝食にお菓子を食べる学生がけっこう多い。その場合、「お菓子」ではなく、お菓子の商品名として答えている。
- 学食(大学の生協食堂等)では定食は売れない。単品を選んでいくために偏りが生じる。
- 女子学生の食事メニューにはパンが多い。からだ全体が小麦でできているのではないかと思われるほど。
- 味覚や嗅覚はすべて脳で処理している。味の記憶よりもニオイの記憶のほうが多彩。人は脳で食べている。
- 脂肪分、濃い味、甘味などにはドラッグと同じような依存傾向がある。「やめられない止まらない」のはドラグだから。
- 清涼飲料水には非常に多くの糖分が含まれている。スティックシュガーの本数に換算するとその多さは一目瞭然。安価のビタミンCや炭酸が入っていると、甘味を感じにくくなる。
- スポーツ飲料よりは味噌汁、だし汁。
- コンビニなどで売られているカット野菜は漂白、水洗いで栄養分流失しており、これに伴う新型の栄養失調の恐れあり。
- 少年院(少女も含む)の子どもたちは歯が悪い。家庭での食事内容や食事の取り方に問題があった可能性。
- 丸ごと農薬を食べた場合、農薬の影響は無いか?→浸透性の農薬が使われている場合は、どの部位にも農薬が残存するので、食べる部位はあまり関係ない
- 『食べなきゃ、危険!―食卓はミネラル不足』や『新型栄養失調』などの本も注目されており一読に値する。
- 有機出汁の摂取を続けることで問題行動が速やかに解消したアスペルガーの子どもの事例あり。但し、エピソードとして伝えられている程度。
- 両親に事情があっても、祖父や祖母が対応できる場合もある。「子どもがちゃんと育つためには大人が一人いればいい」という研究もある。
次回に続く
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