じぶん更新日記・隠居の日々
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【本日の話題】ヤモリの卵/TIME 果てしなき時間の旅(3)時間の過大評価・過小評価に関する実験研究の留意点


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 バルコニーに置いた空き鉢の内側に卵が産み付けられていた。このような場所で棲息できる動物はヤモリぐらいしか思い当たらない。念のためネットで検索したが、やはりヤモリの可能性が高いようだ。大部分はすでに殻が破れており孵化したものと思われる。網戸にやってくる昆虫を食べてくれるので私としては歓迎。

2025年04月25日(金)




【小さな話題】TIME 果てしなき時間の旅(3)時間の過大評価・過小評価に関する実験研究の留意点

 昨日に続いて4月4日にNHK-BSで放送された表記の番組についてのメモと感想。本日は放送内容からは外れるが、時間の過大評価・過小評価に関する実験研究について考えを述べることにしたい。

 さて、昨日の日記の終わりのところで、一部の時間知覚の実験には不備があるように思うと述べた。これは例えば以下のような実験のことである。

●条件Aのもとで実験参加者に「1分経ったと思ったらボタンを押してください」と教示する。スタートからボタンを押すまでの平均時間は50秒であった。よって条件Aは実際より時間を速く感じさせる効果【50秒しか経っていないのにもう1分が過ぎてしまったと感じさせる効果】があった。

 この解釈は、「特段の環境操作が行われない状態(=平時の状態)のもとでは実験参加者は1分間という時間を正確に判断できる」ということを暗黙の前提にしている。しかし日頃から「1分間」を正確に測る技術を身につけている人(職人や技師など)を除けば、一般人にとっての1分間というのは抽象概念の1つに過ぎない。

 例えば「1分間」の代わりに

●「この紐を1フィートだと思う長さに切り取ってください。

という実験をしたとする。ヤード ポンド法に馴染んでいる人は別として、メートル法で寸法を測っている日本人は不正確な判断しかできない。この場合、日本人の参加者の多くが長めに判断したとしても短めに判断したとしても、あるいはバラツキが大きかったとしても、そうした結果は、単に「1フィート」という不慣れな概念に対する反応であって、長さについての錯覚とは言えない。また日本人100人の結果の平均値が1フィートに近づくという保証も全くない。
 もちろん「1分間」は「1フィート」に比べれば馴染み深い概念ではあるが、それはあくまで時計の秒針(あるいはデジタルな秒表示)を使って1分間を計れるというだけのこと。ふだん1分間を正確に計る訓練を受けていなければ「1フィート」と大して変わらない。

 こうしてみると、放送の中で紹介されていた【前回の日記参照】、
  1. マイナス3℃の冷水に浸かって30分作業をした人は「3分数えてください」と言われた時、実際より長い3分43秒経った時に3分が経過したと感じた。
  2. バンジージャンプの時間は平均2.5秒間だが、参加者は「3〜4秒」、「3〜6秒」、「5〜6秒」などと答えた。
という事例は、参加者が「3分間」とか「2.5秒」という時間を熟知していない限りは、必ずしも「実際より長く感じた(短く感じた)」という証拠にはならないように思う。

 ここで少々唐突になるが、「お菓子の価値判断は包装紙の色によって影響を受けるか?」を調べるために、日頃からお菓子を買っている人たちに、色別に箱に入れられたお菓子の箱を並べて、

●それぞれの箱の中から1000円分ずつお菓子を取り出してください。

という実験をする場合はどうなるのか考えてみよう。 上記の「1フィート」とか「1分間」と異なり、参加者が日頃からお菓子の値段とか1000円という紙幣の交換価値を熟知しているのであれば、この場合であれば実験は成立する。

 以上をふまえると、時間の過大評価・過小評価を確認するための実験では以下のような点に留意する必要があるかと思う。
  1. 「○○分間経ったと思ったらボタンを押してください」という実験
    →参加者が「○○分間」について熟知していない限り、過大・過小評価の実験にはならない。
    但し、「3分経ったと思ったらボタンを押す」という実験を部屋が明るい条件と暗い条件で比較することで、部屋の明るさが時間評価に及ぼす影響を調べることはできる。その場合、比較するべきなのは2条件の相対的な時間差であって、「3分」より長いか短いかは問題ではない。ボタンを押すまでの平均時間が仮に「明るい条件」で2分50秒、「暗い条件」で2分55秒だっとすると、ここで導かれる結論は「明るい条件のほうが暗い条件よりも時間が速く感じられた」というだけのことであって、3分間よりも短かったかどうかは問題ではない。「3分間」というのは、「同じ時間が経ったと思ったらボタンを押してください」という教示に「3分間」という具体的な数値を付加しただけのことである。

  2. 「昨日はいつもの1日より長く感じられましたか?」という質問
    →「1日」という時間の長さは毎日体験されているので、参加者は特定の1日について主観的な時間の長さを評価できるだろう。但し、
    • 昼と夜の長さの変化が影響を与える可能性はある。高緯度地方では白夜や極夜があるため、1日の長さを体験できないこともある。
    • 「1日が長く感じられた」とか「あっという間に1日が過ぎた」というように1日の長さの主観的評価はできるが、1日を過ごしている最中に感じる場合と、何日か経ったあとで特定の1日の長さを回想する場合は区別する必要がある。
       前回引用したように、ハルトムート・ローザは、
      何かに夢中になると時間はあっという間に過ぎるが一日を振り返ると長い一日だったと感じる。いっぽう電車を待っているなど退屈な時は時間が止まっているように感じるが、一日を振り返ると逆にとても短い一日だったと感じる。
      と述べている。 このように、一日の長さの評価は、どの時点で振り返るのかによって変わってくる。
    • そもそも時間の流れを感じられるかという根本問題がある。何かの行動をしているときに感じるのは、「作業が時間通りに進んでいるか?」、「休む時間がとれないほど忙しいか?」、「締め切り時間に間に合うか?」などであり、そこから間接的に「時間の流れ」を推測しているだけかもしれない。


  3. 刺激の提示時間を変えて、どちらが長く感じるのか比較してもらうという実験
    →「1分間」とか「3分間」といった基準を前提にしていないので、人間以外の動物を含めて実験は可能。
    • 例えば、ランプをx秒間→y秒間というように提示し、x>yの時は左のボタン、y>xの時は右のボタンを押すと餌が貰えるという実験は動物でも可能。
    • 上記で、ランプの色を変化させれば、どういう色のランプを提示した時に長く感じられるのかを調べることができる。
    • 但し、同時比較ではないため、時間感覚ではなく時間記憶の要因が入ってくる。


 次回に続く。


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