じぶん更新日記
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

Top(1997年以降の過去日記等へのリンク)|2025年09月のインデックス連載記事
常用リンク|高速道路情報NEXCO西日本ライブ映像宇宙天気予報
|天気日本気象協会ウェザーニュースpm2.5黄砂人形峠気象状況気象庁データ
レーダー気温・雨量Top10天気図地震情報デジタル台風アストロアーツ
|gmailYahoo
青空文庫TVでた藏TVerNHK+
ウィキペディア(Wikipedia)地図weblioはせじぃアンテナ
旅と自然のアルバムindex国内旅行アルバムフォートラベル

隠居人植物図鑑隠居人昆虫図鑑昭和30年代の写真日記
|(更新報告専用→)|TWItwitter




【本日の話題】【インドネシアその48】バリ島の「ラーメン屋」は縦書きでも「ー」/ケンボー先生と山田先生〜辞書に人生を捧げた二人の男〜(7)現代語の収集
| 楽天版じぶん更新日記 | 4トラベル |YouTube公開画像リスト

クリックで全体表示。


【インドネシアその48】バリ島の「ラーメン屋」は縦書きでも「ー」

 バリ島・デンパサールで見かけたラーメン屋。日本語の看板は親日的な雰囲気があり好感が持てるのだが、残念ながら「ラーメン屋」を縦書きにした時の長音符「ー」が水平の向きのままになっていた。オーナーや従業員の中に日本語の分かる人が一人も居なかったため修正できていないのだろう(もしくはわざと話題性を高めるため?)
 なお値段のほうは、チャーシュー麺が33000、目玉焼きののったものが28000、ミニサイズが15000ルピアとなっていた。当時のレートではそれぞれ330円、280円、150円程度であり気軽に食べられそうだ。
 なお、このお店は「RAMEN YA!」というチェーン店らしいので、縦書きの長音符を「ー」のままにしたのはやはり話題性を高めるための意図的な仕掛けである可能性が高い。

2025年09月5日(金)




【小さな話題】ケンボー先生と山田先生〜辞書に人生を捧げた二人の男〜(7)現代語の収集

 少し間が空いてしまったが、8月27日の続き。8月16日にNHK-BSで再放送された表記の番組のメモと感想。

 前回の日記では昭和30年代、『明国』(明解国語辞典)の更なる改訂版に向けて関係者が喫茶店の個室で研究会を重ねていたという話題を取り上げた。会議は見坊豪紀が中心に進められており山田忠雄も加わっていたが、当時の関係者の証言によれば、山田は独自の主張に固執したり、挨拶もせずに帰ったりすることがあったという。
 ということで1960年には、見坊を中心とした編者たちは新たな辞書として『三国』(三省堂国語辞典)を出版した。『三国』は中学生の利用を想定していた。当時は中学生の数が最多だったため、『明国』の売り上げは落ちず、そのいっぽうで『三国』も業績を伸ばすという状況にあった。
 見坊は『明国』と『三国』の両方の編纂を手がけていたが、『三国』については以下のように特徴づけていた。

『三省堂国語辞典』は徹底的に現代に即した辞書であることをめざしております(見坊豪紀著『ことば さまざまな出会い』)。

 『三国』が現代語を多く採用した一例として『ウルトラマン』(第四版)や『怪獣』(第二版、『怪獣ゴジラ』や『怪獣ママゴン』の用例を含む)が載せられていることが紹介された。また『三国』第四版には、

ワードハンティング:ことばさがし。ことば集め。用例採集。「―五十年」

という、見坊の辞書作りの姿勢を物語る「ワードハンティング」が載せられていた。

 また八王子市の三省堂資料室には見坊豪紀が50年かけて集めた145万例にも及ぶ膨大な数の用例カードが保管されているという。見坊は新聞、雑誌、漫画、広告などあらゆる媒体に目を通し、出典の一部を証拠として残した。見坊が膨大な用例を集めた理由について田中三雄さん(元三省堂社員、『三国』担当)は見坊が以下のように語ったと証言している。

ただ集めているんじゃない。現代語と言えるか判定するためにたくさんの用例が必要なんだ。

また見坊自身も『日本語とわたし』という講演の中で、

ことばは音もなく変わっている。丹念に気をつけて調べていると初めてそのことがわかる。だから実際にその用例・実例を探しながら一歩一歩飛躍をしないで考えていくことが大切

と語っている。見坊は膨大なデータと客観的な証拠を基に、世の中で使われていることばを辞書に反映しようとした。

 以上の見坊の姿勢は家庭内にも影響を及ぼしており、長男、次男、長女が集まった時の回想によれば、見坊はあれだけ新聞を読んだりしているのに世間知らず。長女からは、見坊はある時、正体不明の人を家の中に通したが、その人は新聞の勧誘員であったことが分かったといったエピソードが語られていた。

 ここからは私の感想・考察を述べる。
 まず当時の「現代語」であった『ウルトラマン』、『怪獣』がどうなったのか調べてみると、
  • ウルトラマン:『三国』第七版には無し。『大辞泉』のみ、「昭和41年(1966)から放送された特撮テレビ番組、およびその作品に登場するヒーロー。銀河系の外からやってきた巨大な宇宙人が、さまざまな怪獣から地球を守る。」と解説されていた。
  • 怪獣;
    • 『三国』第七版:@ぶきみな感じの大きな けもの。A漫画(マンガ)・映画・テレビなどで作り出した、ぶきみで大きな動物。「━ゴジラ」「━ママゴン〔=子どもに対して強い勢力を持つ母親のたとえ。
    • 『新明解』第七版:(一)正体不明の、恐ろしげな獣。(二)化石時代の爬虫(ハチユウ)類などにヒントを得て漫画・映画・テレビなどで創作された、不気味で大きな動物。
となっていた。なお、『三国』ではいまでも『ママゴン』が残っているようだが、現在では殆ど耳にしないようにも思う。知恵袋の回答【抜粋】によれば、
昭和40年代(1960〜1970年代)の言葉です。
「〜ゴン」と言うのは、当時TVで流行した怪獣の名前に多い所から付きました。
つまり、「怪獣のように恐いママ(母親)」の意味です。

但し、最近のモンスター・ペアレンツとは異なります。当時は「教育ママ」という言葉も流行していました。
母親が子供の教育に熱中して、遊びを制限したり、子供同士の付き合いにも口を出すようになりました。【以下略】
となっており、『三国』の用例からはいずれ姿を消すことになりそうだ。
 いっぽう、『ウルトラマン』のほうは今なお影響力を及ぼしているように思う。ウルトラマンは昭和41年(1966)から放送された特撮テレビ番組であったが、1990年〜1995年頃、私の息子もハマっていていろいろな種類のウルトラマンの特徴を知っていた。但し孫の世代は私の知る限りでは無関心のようだ。

 見坊豪紀の膨大な数のワードハンティングには恐れ入るが、見坊さんが50年かけて収集されたデータは今ではAIで短時間に集められるようになってしまった。もっとも、そもそも「現代語」といっても、どこでどういう文脈で使われているのかは異なる。新聞には全く登場しないがSNS上だけで使われる言葉もあれば、特定組織や地域の中で通用する言葉もある。いくら数を増やしても限界があるし、100%収集したと思った時にはすでに死語になっていたり、新たな言葉が出現していたりしてキリが無い。もはや印刷媒体の辞書で現代語を把握するのは困難。じっさい私も、ウィキペディアとChatGPTが使えればそれで不自由していない。

 次回に続く。


カスタム検索

じぶん更日記、私設
過去ログ

1997年 |0506070809101112
1998年 |010203040506070809101112
1999年 |010203040506070809101112
1998年 |010203040506070809101112
1999年 |010203040506070809101112
2000年 |010203040506070809101112
2001年 |010203040506070809101112
2002年 |010203040506070809101112
2003年 |010203040506070809101112
2004年 |010203040506070809101112
2005年 |010203040506070809101112
2006年 |010203040506070809101112
2007年 |010203040506070809101112
2008年 |010203040506070809101112
2009年 |010203040506070809101112
2010年 |010203040506070809101112
2011年 |010203040506070809101112
2012年 |010203040506070809101112
2013年 |010203040506070809101112
2014年 |010203040506070809101112
2015年 |010203040506070809101112
2016年 |010203040506070809101112
2015年 |010203040506070809101112
2016年 |010203040506070809101112
2017年 |010203040506070809101112
2018年 |010203040506070809101112
2019年 |010203040506070809101112
2020年 |010203040506070809101112
2021年 |010203040506070809101112
2022年 |010203040506070809101112
2023年 |010203040506070809101112
2024年 |010203040506070809101112
2025年 |010203040506070809


2004年10月12日引越時 658907/2005年2月16日 70万アクセス御礼/2005年12月2日 77万7777達成御礼/2007年5月6日十周年 87万5788/2007年7月17日 88万8888達成御礼/2007年9月26日 90万アクセス御礼/2010年2月15日 100万アクセス御礼/2013年2月28日 110万アクセス御礼/2018年4月1日朝 123万2148アクセス
2014年6月10日 Yahooのカウンター廃止によりFC2カウンターを新たに設置