じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



10月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
昨日に続いて早朝の大学構内の写真。写真左は、旧・事務局棟の上に輝く月齢16.9の月。この日はオリオン座流星群最大の日であったが、この月明かりでの観察は困難であった。写真右は、農学部・東西通りの水たまりに映るイチョウと薄明。

 なお、こちらの情報によれば、14等の予報だったリニア彗星(C/2012 X1)がアウトバーストを起こし、8等級にまで大増光しているとのこと。アイソン彗星と併せて、早朝の星空観察の楽しみになりそう。


2013年10月21日(月)

【思ったこと】
131021(月)高齢者における選択のパラドックス〜「選択の技術」は高齢者にも通用するか?(36)選択を階層的に捉える(6)

 昨日も述べたように、選択を階層的に捉えるという視点を加えれば、高齢者に対してより充実した「チョイス」の機会をご用意することができ、形式的な「チョイス」ではなくてQOL向上に貢献するような選択機会を構築することが可能となる。

 その際にまず大切なことは、個々の当事者(利用者)に対して綿密なAssessment(事前の調査)を行うことである。そもそも当事者が望んでいないようなチョイスでは、楽しんでもらえる可能性はきわめて少ない(←もちろん、最初やイヤでもチャレンジしていくうちに熱中できるような行動はたくさんあるので、興味や関心を広げる働きかけは大切だとは思うが)。

 でもって、スタッフの負担や金銭的コストなども勘案して、Planning(計画・設計)を練り上げImplementation(実施)、さらには、Evaluation(効果測定)により次の「A-PIE」サイクルに入る。その際に重要なことは、「大きな選択」機会ばかりでなく、入れ子構造をなしている個々の選択のうち、どの部分が有効でどの部分は形式的で無意味な選択肢となっているのかを「実験」的に組み替えて確認していく必要がある。これこそが真の「階層的」アプローチということになる。

 例えば、数時間の外出のプログラムを立案したとする。この場合の大きな選択肢としては、「お出かけしましょうか?」があるが、さらにその下層には、
  • 外出の有無についての選択(外出するか、施設内で過ごすか)
    • お出かけすることを選んだ場合の行き先についての選択(最寄りのスーパーに行くか、古い街並みを散歩するか)
      • 最寄りのスーパーにショッピングに行くことを選んだ場合の選択
        • 商品選びに関する選択
      • 古い街並みを散策することを選んだ場合の選択
        • どこを訪れるのかについての選択
    • 施設内で過ごすことを選んだ場合の選択
      • 【略】
    というように、それぞれの選択の先には、さらに下層の選択がある。「A-PIE」サイクルのEvaluationの段階で、Implementation(実施)が不十分であると評価された場合、次回のPlanningでは、例えば違うスーパーに行ってみるとか、古い街並みの中にある別のスポットを訪ねてみるかなどについて、選択機会を取り替える工夫をしてみる。また当事者にとって重要度の低い選択段階については、選択肢を減らす工夫もあってよいかと思う。

     次回に続く。