【思ったこと】 131028(月)第6回日本園芸療法学会広島大会(3)レッドゾーンとグリーニング(2)
昨日に続いて、涌井先生の、
レッドゾーンとグリーニング 東日本大震災 奇跡の一本松の事例から
という基調講演のメモ・感想。
講演の冒頭では、「地球環境の危機=命の危機」と題して、人類の地球環境との関わりや自然破壊に関する種々の資料が提示された。
- 地球の直径6400kmを20cmとすると、生命圏30kmはわずか0.5mmにすぎない薄っぺらなもの。
- エコロジカル・フットプリント:米国は9.6gha、日本は4.4gha【スライドではそれぞれ9.7gha、4.8ghaと表示されていた】。人類はすでに、地球1.25個分の生活をしており、もし地球上のすべての人たちが日本並みの生活をしたとすれば地球は2.4個分必要、米国並みとなると5.3個分必要になる。
- 地球の歴史を1年のカレンダーに喩えると、人類が出現したのは12月末、文明が生まれたのは大晦日の23時59分に過ぎない【木村資生『生物進化を考える』
- 人は森から生まれた。明所視では、人の目の最大視感度(錐体系輝度チャンネルのピーク)の波長は555nmであり、緑色と知覚される波長が最も見えやすくなっている。
- 産業革命以降、都市では大気汚染が進み、公園は「都市の肺」であるとして重視されるようになった。ロンドンの緑地帯やNYのセントラルパークはその例。但し、西洋では、城壁内の都市と城壁外の自然を明確に区分する傾向があった。いっぽう、同時代の江戸では、都市の中に庭園が設けられ、また「店中の 尻で大家は 餅をつき」という川柳にもあるように、ちゃんと循環型のシステムができあがっていた。よって、人口密度がきわめて高かったのにもかかわらず、天然痘などを除けば、西洋のように大規模な伝染病が流行することもなかった。ところが今やその東京では、ヒートアイランド現象によって、熱中症患者が急増している。
こうした現状、かつ、大都市では地価が高いことをふまえ、涌井先生は、バイオラングや目黒天空公園の設置に取り組んでこられたとのことであった。「自然を守りましょう、緑地を増やせ」というだけの自然保護運動ではなくて、現実を踏まえて、実現可能な緑の空間を考案されたというのはまことに素晴らしいと思った。
なお私の個人的な希望としては、環七や環八のオール緑化がある。これも、道路を無くしてしまえということではなく、例えば、道路の上に歩道橋の高さ程度の屋上庭園や太陽光発電設備を作るというような立体的な利用で可能になりそうな気がするのだが、専門的知識が無いので何とも言えない。
次回に続く。
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