じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



03月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

 農学部と薬学部の間の東西通り(勝手に「岡大・大通り公園」と呼んでいる)拡幅工事の進捗状況。写真下は周辺のパノラマ写真。まもなく完成の見込み。


2014年3月9日(日)

【思ったこと】
140309(日)コミュニティで創る新しい高齢社会のデザイン:平成22年度採択プロジェクト成果報告シンポジウム(1)

 表記のシンポジウムが、3月7日、日経カンファレンスルームで開催された。

 このシンポは、2月11日に開催された第3回領域シンポジウムに続くものであるが、2月11日のほうは基調講演と平成23年度、24年度採択のプロジェクトの進捗状況の報告であったのに対して、今回は、平成22年度採択分の3年間にわたる取り組みの成果報告が行われた。

 冒頭の秋山弘子・領域総括の説明によると、この平成22年度分には110件(カテゴリーIに16件、カテゴリーIIに91件)もの応募があり、採択されたのは6件という狭き門であったという。今回は、2件はプロジェクト企画調査2件を除く4件についての成果報告が行われた。

 これら4件は、
  1. カテゴリーI:社会の問題を解決するための選択肢を提示しようとするプロジェクト(200万〜1300万円/年)
  2. カテゴリーII:社会の問題の解決に資する具体的な技術や手法等について、その実証までを行おうとするプロジェクト(2000万〜3000万円/年)
に分けられており、さらに、全体の分野概略図【「要支援・要介護←→健康」、「ハード(テクノロジー)←→ソフト(システム・サービス)」という2軸】のコンポーネントを構成し、かつ、全国のいろいろな地域を網羅するように配慮されていたとのことであった。

 この研究プロジェクトは全体として、
  • 政策や制度といったマクロな改革ではなく、ミクロな視点からのアプローチである。
  • 文理融合型。自治体も関与する。
  • 研究成果を社会実装へつなげる道筋がある。
  • 科研費の採択と異なり、これらのプロジェクトでは採択後にも総括やアドバイザーやRISTEXスタッフ、さらに他のプロジェクト関係者によるサイトビジットが行われ、介入型マネジメントが展開される。
という特徴があるということであった。

 今回の4件の成果報告は、いくつかの問題点や限界も指摘されたものの、さすが狭き門をくぐり抜けて採択されただけであって、方法・分析、効果検証、社会実装への道筋がいずれもしっかりしていた。学会発表では「モデルが有効であるという可能性の1つを示しただけ」、「今後の課題を示しただけ」というような100年経っても殆ど進展が見込まれないような取り繕いで終わってしまうことが往々にしてあるが、今回の報告は、社会問題解決のための研究はこうあるべきだという範を示したという点でも大いに評価できるように思えた。

次回に続く。