じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
農学部北側にあるツルニチニチソウ。花期が長く公共花壇向きだが、繁殖力がきわめて旺盛であるため、うっかり庭先に植えると庭を覆い尽くすほどに繁茂してしまう。ここにあるようにコンクリートの敷石で囲まれ、周囲がアスファルトになっているような花壇で育てるのが望ましい。 |
【思ったこと】 140427(日)長谷川版「行動分析学入門」第4回(2)オペラント行動とオペラント条件づけ(2)オペラント行動の定義(2) 昨日、レスポンデント行動とオペラント行動を
「自発」は国語辞典では何通りかに定義されていますが、重要な点は、「外からの働きかけ」が無くても自然に発せられる、という特徴にあります。 「自発」は英語では「emit」が対応しており、オペラント行動の定義の中では
というように使われています。【下線・フォント大サイズは長谷川による】。ちなみに、レスポンデント行動のほうは「elicit(誘発)」されると表現されていることが分かります。 ランダムハウス英語辞典によれば、「emit」には、放つ、吹き出す、放出する、というような意味があり、
という用例が挙げられています。オペラント行動も、これと似たイメージでとらえていただくとよろしいのではないかと思います。 重要な点は、「オペラント行動が自発される」にあたって、「意志」や「意識」といった「心的」な仕組みは一切前提とされていないということです。これは、別段、意志を持たなくても、太陽が光や熱を放ったり花が香りを放ったりするのと同様です。但し、太陽や花は、「発する」ことはできますが、発した結果に基づいてその後の放出量を増減させることはできません。動物が自発するオペラント行動の場合は、行動の結果によって以後の自発頻度が左右されるという点が大きく異なっています。 要するに、無生物でも動物でも「emit」はできますが、行動の結果によってemitのしかたを変えることができるのは動物だけということになります。 こちらに述べたように、動物は進化の過程で、みずから環境に働きかけ、環境を変化させたり、変化を食い止めたりするような行動を身につけてきました。その基本がオペラント行動と言えます。動物の進化というと、化石から推測される形や大きさばかりに目を向けがちですが、動物は植物と違って動くことが本質に含まれていますので、形と行動をセットにしながら適応のしくみをを解明していく必要があります。なお、単細胞生物でも昆虫でも、自発される行動は広く観察できますが、オペラント条件づけの基本原理が共通して当てはまるのは、主として魚類以上の脊椎動物に限られます。それ以外の生物については、質的に異なった適応プロセスを考えたほうが無難です。【無条件反射だけに限って言えば、原生動物まで含めた共通法則があるかもしれませんが、共通性があるというだけで一般化しすぎても、あまり生産的な理論になるとは思えません。】 不定期ながら次回に続く。 |