じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



07月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

 7月10日に続いて大学構内に出現したキノコの写真。左側は、このあたりに「定住」しているオオシロカラカサタケではないかと思われる。菌輪(フェアリーリング)も形成している。右側は不明。


2014年7月12日(土)

【思ったこと】
140712(土)長谷川版「行動分析学入門」第13回(2)人間と社会に関する諸問題(2)人生観(ライフスタイル)と随伴性(1)

 いっぱんに、個々人の人生観やライフスタイルは、思想、信条、宗教によって決まってくると考えられています。確かに、強固な信仰や信念のある人の場合は、
  • 日々、自らの行動が信念に一致するものであるかを点検する。
  • 「信念に一致する」という事実そのものが好子となる。
  • 「信念に矛盾する」という事実は嫌子となる。
という形で、自らの行動を律していることでしょう。特に、宗教上の理由でお酒を飲まない、肉を食べない、日々お祈りをする、といった行動をしている人の場合には、戒律を守る行動が強化され、守らない行動は弱化されるようなシステムが、同一宗教のコミュニティの中でできあがっていると考えられます。

 もっとも、僧侶や聖職者といった特別の立場の人たちを除けば、私たちは、そこまで厳格な戒律に縛られているわけではありません。思想や信条や宗教を尋ねられた時にはそれなりの立派なお考えが表明されるかもしれませんが、日常生活では結構いい加減で、その場の雰囲気に合わせて敬虔な信者になったり無思想になったりしています。

 思想や信条というのはまた、個々人の経験の中でも変化していきます。思想・信条と実際の行動が矛盾した場合、その行動を中止するか、思想・信条のほうを修正してその行動を合理化するのかはケースバイケースとなりますが、長い目で見れば、後者のほうが圧倒的に多いのではないでしょうか。なぜなら、思想・信条には絶対的に正しいことを示すような証拠はありません。通常、それが正しいかどうかは、日常体験の中で実証または反証されていきます。よほどの固定観念にとらわれない限り、その人がどのような思想・信条を持っているのかということは、それがどのように強化・弱化されてきたかに依存します。なお、宗教も1つの思想ではありますが、宗教の場合には教義や戒律があります。圧倒的多数が同じ宗派に属しているような地域では、その宗派の戒律に従う行動は強化され、反応する行動は制裁により弱化されますので、そう簡単に改宗するわけにはいきません。

 以上、思想や信条や宗教について取り上げてきましたが、結局のところ、強い信念に基づいて行動する人たちというのは、「このような場では、このように行動するべきだ」という「ルール」が確立しており、かつ、その「ルール」に合致しているかどうかを点検する行動自体が強化されているような人たちのことであると言ってよいでしょう。




 さて、強固は思想や信条を持たない人たちでも、それなりのライフスタイルがあります。それらは、大部分、習得性好子や嫌子の質、結果の及ぶ範囲(=「関心空間」)、結果の遅延の長さによって変わってきます。
  • 習得性好子や習得性嫌子の有効性や質的な違い
    生得性好子重視か習得性好子重視か
    人付き合い、社会貢献、自然志向、...
  • 結果の及ぶ範囲(=関心空間)
    個人空間、家族、地域、所属集団、国、地球
  • 結果の遅延の長さ
    直後、短期的、中期的(10年程度)、長期的(一生)、死後


次回に続く