【思ったこと】 140713(日)長谷川版「行動分析学入門」第13回(3)人間と社会に関する諸問題(3)人生観(ライフスタイル)と随伴性(2)
昨日も述べたように、人生観やライフスタイルは、大部分、習得性好子や嫌子の質、結果の及ぶ範囲(=「関心空間」)、結果の遅延の長さによって変わってきます。以下、いくつかの事例について検討してみたいと思います。
- 習得性好子や習得性嫌子の有効性や質的な違い
生得性好子や生得性嫌子は自然環境に密着しており、よりリアルなライフスタイルとなる反面、快楽に依存した刹那的な生き方になりやすい恐れもあります。習得性好子は新たな価値の創造につながりますが、個々人により多様に形成されるため、時にはマニアック、あるいはバーチャルな世界に埋没する恐れもあります。
- 生得性好子重視傾向
リアルな生活/万人共通/飽和化が起こりやすい/快楽主義的になりやすい
- 習得性好子重視傾向
バーチャル、時として反生物的/多様、マニアック、時として変人/飽きにくい/努力の積み重ね可能
このほか、「外向性」や「勤勉性」、「協調性」なども、大部分は、社会的な習得性好子がどの程度個々人の行動を強化しているのかに依存していると考えられます。
- 結果の及ぶ範囲(=関心空間)
ひとくちに「好子出現の随伴性による強化」といっても、その好子が、個人にとっての好子なのか、家族にとっての好子なのか、あるいは地域や所属集団、さらには、母国、人類全体、...にとっての好子なのかによって、ライフスタイルは変わってきます。
好子や嫌子の及ぶ範囲が個人のみに限定される人は、一般に「利己主義」と呼ばれます。また、それが、自分の家族全体に及ぶ場合(例えば、獲得した好子を配偶者や子どもと共有することが強化的となる場合や、家族の誰かに危害を与える恐れのある嫌子を消失させる行動をとる場合)は「マイホーム主義」などと呼ばれます。さらに、母国全体に及ぶ場合は「愛国主義」、人類全体に及ぶ場合は「博愛主義」となります。
ゴミ収集場所に指定曜日以外にゴミを出す人や、歩道や車道に平気で吸い殻をポイ捨てする人たちも、自分の家の中まで汚しているわけではありません。むしろ綺麗好きであるために、汚いモノを自分の関心空間の外に排除しようとして【嫌子消失】、公共の場を汚しているのかもしれません。よって、これらの人たちの問題行動を改善するためには、関心空間を自室空間から公共空間まで広げるような働きかけが必要です。
- 結果の遅延の長さ
自分の行動が直後の結果によって強化されやすいのか、中期的(10年程度)、長期的(一生)あるいは死後に残される結果によって強化されやすいのか、によっても、人生観やライフスタイルは大きく変わってきます。直後の結果だけで強化されている人は刹那的で快楽主義的となります。すでに述べたように、はるか彼方にあるような好子で行動が強化されるためには、それを達成するための個々の準備行動に対して別の好子を付加してサポートし、かつ、達成の度合いを日々点検していく必要があります。
結果の及ぶ範囲(縦軸)と遅延の長さ(横軸)という2軸に影響されるライフスタイルは、おおむね以下のようにまとめることができます。
次回に続く
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