【思ったこと】 140920(土)日本心理学会第78回大会(11)ACTとマインドフルネス(6)マインドフルネスについての私なりの理解(3)実践経験の重視/「雨ニモマケズ」と「冬ソナ」のマインドフルネス?
昨日に続き、マインドフルネスについて私が理解した点を箇条書きにしておく。
- マインドフルネスのトレーニングは、マニュアル通りに実践すれば誰でもできるというものではない。指導者自身がマインドフルネスの実践経験を持ち、その態度を内面から「浸み出させる」必要がある。→このあたりは、効果検証が難しい問題。祈祷師のパワーと似ているという印象を受ける。
- Oxford Mindfulness Centreでは、8週間のマインドフルネスプログラムに一度以上参加することや、最短12ヶ月のteacher training programに参加することを義務づけているという。また、マインドフルネスの研究を行う際には、自らが瞑想実践を積むか、瞑想実践者と共同で研究を行うことが求められる。研究発表では、発表者の実践歴を明記しなければならない。
- Doing mode(分析的、目標指向的モード)をBeing mode(無評価的、経験指向的モード)へ切り替える必要。このほか反証主義や空思想についても言及があったが、話が大きくなりすぎるのでここでは省略。
- マインドフルネスは、一般企業の社内研修にも取り入れられているほか、摂食障害、矯正教育、いじめ予防などにも適用されている←もっとも、科学的に効果が実証されているケースはまだまだ少ないようだ。「現代社会が引き起こす様々な問題の解決に貢献」しているのかどうか、それが最善の方法であるのかについては、まだまだ証拠が足りないように思われた。
- Kabat-Zinnのように、マインドフルネスを治療技法としてではなく「生き方」そのものとして実践していこうという研究者もある。
ここで少々脱線するが、今回の一連のシンポを拝聴して思い浮かんだのは、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の中の
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベアラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
という部分で、これはかなりマインドフルネスに近い態度であるように思われた。
あと、突然別の話が飛んでしまうが、「冬ソナ」の第7話の中で、ミニョンがユジンをかつてチュンサンとデートしたことのある湖に連れて行き、小鳥のさえずりや明るい光のもとで「世界はこんなに美しいのに、あなたは過去ばかり見ている」と語る、私のお気に入りのシーンがある。これも注意の転換を促していると言えるが、「世界はこんなに美しい」というのは無評価的ではないのでマインドフルネスとは言えないかもしれない。
次回に続く。
|