じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 生協マスカットユニオン(北福利施設)の食堂から眺める紅葉。建物北側ではあるが風が当たりにくいせいか落葉が遅い。葉っぱと実の形状からサンカクバフウ(三角葉楓、あるいは普通に言われる「フウ」)と思われる。写真右は南西向きのテーブルから眺める別の紅葉。こちらはアメリカフウと思われる。このほか、すでに落葉してしまったが、南向きのテーブルの外のケヤキの紅葉もなかなか見事であった。



2014年12月04日(木)

【思ったこと】
141204(木)糸谷竜王誕生、「巨人・大鵬・卵焼き」から「井山・糸谷・逸ノ城」の予感

 各種報道にあるとおり、将棋の第27期竜王戦7番勝負第5局が12月3日、4日の両日、金沢市で行われ、挑戦者の糸谷哲郎七段(26)が森内俊之竜王(44)を破り、竜王を獲得した。糸谷氏は、タイトル獲得により12月4日付で八段に昇段した。

 今回の竜王戦は、糸谷氏が、羽生名人との挑戦者決定三番勝負に出場した頃からずっと注目しており、今回の第5局では、NHK-BSの中継番組を録画予約しておいたのだが、家に戻って再生してみると、なっなんと、16時の時点で対局は終了しており、「糸谷 竜王奪取!」のテロップが表示されていた。番組によると終局時間は15時46分であったという。持ち時間は、森内氏の1分将棋に対して、糸谷氏は3時間31分も残していたというからスゴイ。

 そもそも、糸谷・新竜王に注目したきっかけは、まさにこの早指しであった。初めて注目したのは2008年11月2日のNHK杯、一手2〜3秒で指している若手棋士に驚いたのが最初である。ちなみに、糸谷・新竜王は、この年度と次の年度にNHK杯で2年連続の準優勝しておられる。
 竜王位は名人位とともにプロ将棋界の頂点とされている。ウィキペディアによれば、
1名が竜王と名人を独占した場合は、「竜王・名人」と呼ばれる。これは、竜王戦は賞金が最も高額だが、名人位は他のタイトルと比べ圧倒的に歴史が長く権威があり、竜王と名人の序列をつけにくいためと考えられる。
 ま、歴史の長い名人戦が毎日新聞社・朝日新聞社の主催で行われることに対抗して、読売新聞社が最も高い賞金を積み上げて強引に序列1位にさせたという印象がなきにしもあらずだが、それはそれとして、挑戦者決定のプロセスだけを考えれば、その年度で最も強い棋士であれば誰でも竜王になれるという仕組みになっていることは間違いない。なぜなら、名人位のほうは、まずはC級2組からスタートし、毎年、昇級を重ねて、最上位のA級で1位の成績を上げなければ名人に挑戦できないからである。糸谷・新竜王の場合も、現時点ではB級2組在籍となっているため、仮に全勝を続けても、2年後にやっとA級、その上で3年後にトップの成績をおさめないと名人には挑戦することができないからだ。

 ところで、この糸谷・新竜王誕生でもう1つ驚いたことがある。大阪大学の公式サイトのトップ画面の上部が、なんと、糸谷竜王位獲得で飾られていたことだ。しかも、竜王戦終局から数時間も経たないうちに、平野俊夫総長の喜びのコメントまで発せられていたことである。現在は将棋に専念するため休学中とのことだが、大学でこれだけ取り上げられた以上は、いずれは、修士号、博士号獲得を目ざすことになるのではないかと思われる。ま、世の中には、北山修先生のように、ミュージシャンとしてデビューした後、精神科医・大学教授になられた方もおられる。糸谷氏がいずれ、トップ棋士であり同時に哲学者になられたとしても不思議ということにはならない。【現時点では、「日本で最も高収入の大学院生」と言えるかもしれない。】

 すでに還暦を数年すぎた私にとっては、年配の棋士が敗れることは残念ではあるが、20歳代の若手がいろいろな分野で活躍されることにも大いに元気づけられる。私が子どもの頃には、「巨人・大鵬・卵焼き」という言葉があった。趣旨は異なるが、これから10年、「井山・糸谷・逸ノ城」の時代が到来しそうな予感である。(←井山さんはすでに囲碁界の第一人者。逸ノ城はモンゴルの怪物とも呼ばれている)