じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
1月19日(月)午前中は、年休をとって、夫婦で健幸ポイント説明会に出席した。会場の「きらめきプラザ」(岡山県総合福祉・ボランティア・NPO会館)は、かつての国立病院であり、20年ほど前には夜中に子どもが急病になった時にここまで運んだことが数回あった(←幸い、いずれも重大な病気ではなかった)。 この日の説明会では、体組成計で測定したデータを歩数計に取込み、さらにネットを経由してアップロードする方法を教わった。パソコン操作だけであればおてのものだが、体組成計と歩数計の通信操作は忘れそう。 なお、こちらの記事にもあるように、この事業は当初2000人を募集していたが、応募者は1200人弱にとどまっており、14日から2月13日まで734人を追加募集するとのことだ。私も同僚や知人に参加をお勧めしているところ。大学構内をいつも散歩しているお顔馴染みの高齢者にもお声をかけたいと思ってる。 |
【思ったこと】 150119(月)オックスフォード白熱教室(8)分割問題のまとめ NHKオックスフォード白熱教室の放送に関連して、1月12日の日記以降、円、平面、3次元空間などの分割問題の話題を取り上げてきたが、今回でひとまず終了したいと思う。 さて、そもそも、この話題の発端は、 1 2 4 8 16 □ という数列で次の□に32ではなく31が入る場合があるという「意外性」にあった。 もっとも、この「意外性」には2つの側面がある。1つは、単に数列だけが示された場合、もう1つは円の分割問題を解く場合の意外性である。 前者に関しては、本来は、□にどんな数が与えられていても、それが間違いということはないし、またf(n)という一般式で表すことは可能である。とはいえ、すでに与えられている「1 2 4 8 16 」という数列は、倍々に増えるというシンプルな法則と矛盾していないことから、常識的には次に「32」が来るであろうと予測する。知能検査などでも、そのように予測できることが一定の知能水準にあると見なされる。もっとも、より豊かな思考力を身につけるためには、次には「32」しか来ないというような画一的な解答反応を形成するのではなく、次に「31」が来るとしたらどんな場合か、さらには、「30」や「40」だったらどうなるのか、というように、いろいろな数が入る場合について、できるだけシンプルで、かつ実際の事例を見つけられるような力を養うことが大切ではないかと思う。 いっぽう後者に関する「意外性」というのはおそらく、元の問題: ●円周上にn個の点を取り、すべての点どうしを直線で結んで分割した時、それによってできる領域の数は最大でいくつになるか? において、「分割」という操作が「2つに分ける」、つまり「2倍に増やす」という印象を与え、しかも図を描いて数えていくと実際に「1 2 4 8 16 」と増えていくことから、「32」に違いないという素朴な予想が生まれ、それとの不一致がもたらした「意外性」であろうと推測される。 しかし、1月14日に記したように、n個の点からつくられる領域の数Rの最大値は、点と点を結ぶ直線の数と、それら直線によってできる交点の数の和に1を加えた数 R=nC4+nC2+1 になる。じっさい、
となっており、領域の数というのは、実は倍々ではなくて、「0、1,3,6,10,...」という数列と「0、0,0,1,5,...」という数列の対応する項の和に1を加えた数であって、これがたまたま、「1、2,4,8,16,」という倍々の数列と途中まで同じ値になっていたのに過ぎないということに気づく。となると、意外でも何でもない。強いて言えば、「偶然の一致に驚く」という範疇での意外性に過ぎない。 なお、ネットで検索したところ、円分割問題の高校数学科における課題学習での活用の可能性という論考のあることが分かった。問題それ自体の数学的価値よりも、数学教育での利用価値のほうが大きいのかもしれない。 このほか、円分割問題は、経験科学における仮説検証を考える教材としても使えそうな気がする。経験科学において、何らかの法則を実験的に確かめる、言ってみれば、
●どのような条件で確かめても、法則に矛盾する結果は得られなかった。 という範囲にとどまる(もちろん、法則に矛盾する結果が1つでも得られれば、その法則は間違っているか、もしくは、一定の条件以外では成り立たない証拠にはなる)。 心理学では、これに加えてさまざまな「数理モデル」が提唱されることがあるが、いくら実験を重ねたとしても、そのモデルが唯一絶対であるというようなことを100%実証することはできない。言ってみれば、上記の図のように、円周上にn個の点を配置して、実際に領域数を数えてみるという「実験」から、領域数は「R=2n-1」という数理モデルが実証されたと主張しているようなものであるとも言える。しかしこれが、じっさいは「R=nC4+nC2+1」であったと分かった時点で、元の数理モデルは完全に崩壊してしまうのである。それゆえ、数理モデルの構築にあたっては、単なる近似式のあてはめではなく、できるだけシンプルで、かつ理論的に根拠のある要因を組み合わせた数式をつくる必要がある。 |