【思ったこと】 150302(月)2月に観た映画・ドラマ:バリバラ特集ドラマ“悪夢”/「もしも昨日が選べたら」〜人生を早送りできるリモコン〜
2月に観た、印象に残った映画・ドラマから2作品。【以下ネタバレあり】
- バリバラ特集ドラマ“悪夢”(2月28日再放送、NHK・Eテレ、12月5日の再放送、アフタートークつき)
統合失調症の世界と障がい受容、さらに生きる力としての「愛」が「おっぱい」を通じて象徴的に描かれるという構成であった。
まず、ストーリー展開は別として、私個人にとっては、ドラマのロケ地に懐かしさを感じた。というのは、2年前の3月、当時ハマっていたNHK朝ドラ「純と愛」のロケ地の1つとして、大阪市・大正区を散策したことがあったからである。大阪にもいろいろな風景があるが、大正区の街並みは私の一番のお気に入りである。私が生まれ育った東京世田谷とは遠く離れているとはいえ、まだまだ昭和30年代の雰囲気を残しているせいかもしれない。
念のため、録画再生時に念入りに画像をチェックしてみると、冒頭の新聞配達のシーンのところで「すぐそばに大正アイランド」のポスターと大阪市大正区三軒家西2丁目の住居表示があり、確かに私が歩いた場所であることが確認できた。
さて本題のほうだが、このドラマの主演は、お笑い芸人のハウス加賀谷さん。番組紹介サイトに
彼自身、12歳の時に統合失調症を発症し、入退院を繰り返してきた経歴を持っており、ストーリーには、 彼の実体験があちこちにちりばめられています。
と記されているように、実際に、幻覚や妄想の体験があるそうだ。他の登場人物を含めて、当事者でなければ演じられないような迫真さが伝わってきた。
障がいの受容については、このWeb日記でも何度か取り上げたことがあるが【例えばこちら】、アフタートークでも語られていたように、いろいろな見方がある。ドラマの中で「この果物を食べると障がいは無くなるが記憶も無くなる。あなたは食べますか?」という問いかけがあったが、当事者たちの回答は様々であった。このことは障がい者としての人生を肯定的に生きるか、という問題にも関わってくる。いっぽう、単に、別の人生も体験してみたいという希望が述べられることもある。私自身は障がい者ではないが、老いや、やがてやってくる死をどう受け止めるかという問題には常に関わっていかなければならない時期に達している。
- 「もしも昨日が選べたら」〜人生を早送りできるリモコン〜(2月21日、BS日テレ、原題 「Click」米国2006年6月23日、日本では同年9月23日公開)
ストーリーの展開そのものは、どこかで観たことのあるタイムワープと夢オチでイマイチというところもあったが、タイムマシンのような大げさな装置ではなく、毎日誰もが手にしているようなリモコンボタンを登場させたこと、また、家族と過ごす大切さを描いていた点、さらには、人生を早送りするとどうなるか?という哲学的課題を笑いを交えて描いていた点はなかなか良かったと思う。
この映画はありがちなタイムワープものと異なり、過去の出来事は勝手に変えることができない(←自分が子ども時代、一緒にキャッチボールをしていた隣の男の子にボールをぶつけるシーンのみ例外?)。リモコンの一番の特長は、これから起こりそうな面倒な出来事、苦労しそうな難題をすべて早送り(スキップ)させられるという点にあった。であるからして、邦題の「もしも昨日が選べたら」はこの映画の内容を必ずしも適切には表していない。ネタバレ承知で最善のタイトルをつけるとしたら「もしも人生を早送りできたら」とすべきかと思う。
なおウィキペディア英語版では、Critical responseとして、
Click received mixed to negative reviews from critics. Rotten Tomatoes gives the film a score of 32% based on 167 reviews, giving the film a "Rotten" rating. The average score is a 5 out of 10, with the consensus being "This latest Adam Sandler vehicle borrows shamelessly from It's a Wonderful Life and Back to the Future, and fails to produce the necessary laughs that would forgive such imitation.Metacritic gave it a score of 50 out of 100 which indicates "mixed or average reviews".
と記述されている。そう言われてみれば、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」と似ていないこともないが、過去や未来の自分を見るという点ではむしろクリスマス・キャロルに近いかも。
でもって、もし私自身がそういうリモコンを手に入れたらどうするか。私の場合は、うっかり早送りなどしたら寿命が尽きて死んでしまう。また、別段、過去の選択を変更したいとも思っていない。むしろ、スローモーションボタンを多用して、これから先の余命をできるだけ伸ばすことに専念するだろう。
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