じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 図書館前のヘラオオバコ。ユーモラスな形の花を咲かせるが繁殖力旺盛で要注意外来生物類型2に指定されている。昨年の写真がこちらにある。

2015年06月01日(月)


【思ったこと】
150601(月)NHK 100分 de 名著43「荘子」(1)そうしとそうじ

 5月に放送された

NHK 100分 de 名著43「荘子」

の感想1回目。

 老荘思想については以前から興味を持っている私ではあるが、これまで荘子に関する書物は全く読んだことが無かった。私が大学を受験した時の漢文の問題の出典が『荘子』からの出典ではなかったかとかすかに記憶しているが、理系で受験していたので国語の配点は少なめであり、漢文は最初から捨てていた。じっさい、漢文の問題は殆ど解答できなかった。

 今回まず驚いたのは「荘子」を「そうし」ではなく「そうじ」と発音していたことである。恥ずかしながら、人生60+α年、ずっと「荘子=そうし」と発音しており、「そうじ」という読み方は聞いたことが無かった。

 番組サイトによると、
ちなみに荘子の読み方ですが、儒家の曾子と区別するため、日本では「そうじ」と濁って読むのが中国文学や中国哲学関係者の習慣となっています。
といういきさつがあるそうだが、ウィキペディアでは「そうし」と仮名がふられており、書物のほうで初めて、
『荘子』(そうじ、そうし)は、荘子(荘周)の著書とされる道家の文献。
というように「そうじ」が優先されている。ま、NHKの番組は、人の紹介ではなく名著の紹介であるからして、書物を人と区別して「そうじ」と読ませるのであれば納得しないわけでもない。

 このほか、こちらには、
古い先生方は、人名の場合「そうし」、書名の場合「そうじ」と区別しておられます。諸橋先生の『大漢和辞典』(大修館)も、見出しをそのように区別しています。

さて、日本語には「連濁」と呼ばれる現象があります。『広辞苑』を引くと、「二語が複合する際に、下に来る語の初めの清音が濁音に変ること。『みかづき』の『づき(月)』、『じびき』の『びき(引)』の類」と書いてあります。この現象が、漢語でも起きることがあります。

【中略】
「そうじ」と濁ることがあるのは、もともと「荘」が zhuang1 で、後ろを濁音にしたがる音だったので、濁音にしても不自然ではなかったからでしょう。そうして、読み方が二種類あるならば、意味の区別に対応させると便利ですから、人名を清音、書名を濁音にしたのでしょう。ただそうすると、「儒家の曾子と区別するため」という、『広辞苑』等の説明はどうなるのか問題になります。人名の場合、「曾子」も「荘子」も「そうし」になってしまうからです。『曾子』という名の書物はありませんから、書名だけ濁音にしても意味がない。「儒家の陰謀」説は成立しないと思います。
という説明があった。

 次回に続く。