じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
土曜日の夕刻、16日からの岡大イルミネーションを控えて、大まかな飾り付けと点灯のチェックが行われていた。毎年同じ機材を使っているため、変わり映えしない風景にならぬよう苦労されている様子。 |
【思ったこと】 151212(土)理論心理学会公開シンポ(16)心理学の将来の方法論を考える(8)『ベイズ的アプローチと心理学(2)完全独習 ベイズ統計学入門』とモンティ・ホール問題 12月10日の続き。 今回の公開シンポを機会に、ベイズ統計学についてもう少し学んでみようと思い注文しておいた本が金曜日に手元に届いた。分かりやすい解説で定評のある小島寛之先生の、 完全独習 ベイズ統計学入門 という御著書であった。本の帯には「かけ算・わり算だけで理解できる」というキャッチフレーズがあり、序文(第0講)見出しでも、本書の特長として、
心理学の研究に活用するという目的であれば、やはり、豊田先生の御著書、 基礎からのベイズ統計学: ハミルトニアンモンテカルロ法による実践的入門 は最低限マスターする必要があると思われるが、とりあえず、ベイズ統計学とはどんなものか、平均値の有意差検定などを行う伝統的なp値統計学とどこが違うのか、どういう風に応用できるのかといった概略を理解する上では大いに役立つ本ではないかと思う。 個人的に興味をいだいたのは、 第9講:ベイズ推定はときに直感に大きく反するAモンティ・ホール問題と3囚人問題 という章である。 モンティ・ホール問題については2011年2月27日の日記で取り上げたことがある。ウィキペディアの該当項目から引用すると、モンティ・ホール (Monty Hall、本名 Monte Halperin) が司会者を務めるアメリカのゲームショー番組、「Let's make a deal」の中で行われたゲームで 「プレーヤーの前に閉まった3つのドアがあって、1つのドアの後ろには景品の新車が、2つのドアの後ろには、はずれを意味するヤギがいる。プレーヤーは新車のドアを当てると新車がもらえる。プレーヤーが1つのドアを選択した後、司会者(モンティ)が残りのドアのうちヤギがいるドアを開けてヤギを見せる。というのが元の問題。同型の問題で、もっと古くから議論されていたのが3囚人問題であるが、3囚人のほうは死刑になるはずだった囚人が恩赦で助かる確率についての問題であり、いくら数学とはいえ、人の命を軽んじているような気がして私はあまり好きではない。ということで、ここではもっぱらモンティ・ホールの話題のほうを取り上げることにする。 リンク先にも記されているように、この問題の論理的な正解は、ドアを変更したほうが有利になる(確率1/3から2/3)」というものであった。これまで私は、ドアを変更する(変更戦略)と、変更しない(保持戦略)よりも確率が2倍になるという点にはあっさり納得していた。なぜなら、サイコロなどを使って実際に100回ほど実験してみれば分かるように、保持戦略で新車が貰えるのはおおむね33.3回、変更戦略ではおおむね66.7回となり、決して確率1/2の50回ずつにはならないと考えたからである。 ところが、ベイズ統計学の結論は、 ●モデルの設定自体で結論は変わる というものであり、要するに、司会者のドアの開け方には条件つき確率を適用する別のモデルでは、1/2という結論もありうるというような内容であった。 なお、モンティ・ホール問題(3囚人問題)は豊田先生の御著書の第3章でも取り上げられており、そこでも「正解は1/2でよい」と論じられていた。このほか、Yahoo!で「ベイズ モンティ・ホール問題」という検索をすると、約6200件がヒットする。 このほか、「ベイズ 2つの封筒問題」で検索すると、約3880件がヒットする。こちらもなかなか興味深いが、今回の連載から脱線しすぎるので、とりあえずこの話題はここで打ち切りとしておく。 不定期ながら次回に続く。 |