じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 他大学を訪れた時は、その大学の喫煙対策とキャンパス内での喫煙・ポイ捨て行為を注意深く観察することにしている。今回訪れた目白大学・新宿キャンパスの場合は、建物内の一室と隣接した広場が喫煙所となっていた【写真C、D】。このほか、認知行動療法による禁煙サポートの参加者を募集する掲示を見かけた。
 ちなみに、大学周辺では、新宿区内全域路上喫煙禁止のポスターを何カ所かで見かけた【写真E】。いっぽう隣接する中野区は分煙化を重視しているように見受けられた。

 写真Fは、哲学堂公園内のベンチに取り付けられていた禁煙看板。もっとも、菖蒲池脇の看板が取り付けられているベンチで、高齢男性1名が喫煙しているのを見かけた。

 余談だが、地図上では、公園の一部は新宿区内に含まれているように見えた。このあたり、区境が複雑に入り組んでいるようであるが、哲学堂公園自体は中野区立となっている。このほか、新宿駅の一部は渋谷区にあり、道路を隔てて喫煙対策条例が異なっている場合もありそう。いずれにせよ、条例の有無にかかわらず、路上喫煙は世界中どこに行っても控えるべきであろう。

2016年03月21日(月)


【思ったこと】
160321(月)ACT Japan2015年度・年次ミーティング

 3月19日〜20日に開催された表記のワークショップに参加した。

 ACT関連のシンポ・ワークショップには何度か参加させていただいたことがあるが、ACT JAPANの公式の会合は今回が初めてである(但し、非会員として)。

 リンク先にも記されているように、このワークショップでは合計6例の事例が紹介されていたが、発表者はもとより、参加者全員にも守秘義務が課せられるため、ここで具体的に意見・感想を述べることはできない。全般的な感想としては、いずれもなかなか困難なケースであったが、ACTを取り入れることでかなりの成果が上がっているようにも見えた。但し、一部は、より基本的な応用行動分析を活用するだけでもうまくいきそうな気がした。

 参加者は若手のセラピストが多く、人数もかなりの数にのぼっていた。今後の発展が期待できそう。

 以下は、一般的な問題として考えたこと。
  • 専門家でも、ABC分析(Antecedent→Behavior→Consequence)はなかなか難しいようだ。実験ではないので、AやCはどうしても事後的な推測になってしまう恐れがある。また、Cは本来、環境変化として記述すべきであるが、「楽しい」「つまらない」といった反応(もしくは当人自身による言語的評価)にすり替わってしまう恐れがある。そうなると、「遊んでいるのは楽しいから」、「勉強しないのはつまらないから」というトートロジーに陥ってしまって改善にはつながらない。
  • 行動活性化は、時には、標的行動と両立しないような行動を起こりやすくしてしまう可能性があり、標的行動を長続きさせる上で弊害となる場合がある。例えば、新型うつと言われる人の場合、行動活性化によって、趣味や遊びに関する行動は増えるが、仕事は長続きしない、再び休職するといった場合。仕事そのものが生きがいとなるような自然強化随伴性がうまく機能すればよいのだが、すべての職種が働きがいをもたらすとは言いがたい場合もある。勤務時間の日常習慣化(同じ時刻に同じことをする)、仕事と遊びのリンク(プレマックの原理の応用)などを取り入れていく必要があるように思った。
  • 何でもかんでもACT、ということではなく、体験の回避があるかどうか、認知的フュージョンが深刻かどうかという見極めが大切。場合によっては、基本随伴性、もしくは、長期的視点を含めた入れ子型の随伴性を整備するだけで改善できる場合もある。
  • 初日の話題提供の中で、行動改善とQOLの向上について有意義な御指摘があった。例えば、授業中に騒ぐ子どもの中には、注目が強化子(好子)になっている場合がある。それゆえ、注目しない(=騒いでも無視する)ことは、有効な消去手続の1つであると言われるが、そのことで当該児童が静かになったとしてもそれだけでは根本的な解決にはつながらない。当該児が適切な場面で注目されるような環境づくりも必要であり、また、もし、集団場面に一定時間拘束するような教育がその子どもにとって苦痛であり続けるのであれば、人的コストを勘案しつつ、異なる教育方法(個人指導など)を受ける可能性についても検討していくべきであろう。
  • このほか考える必要がありそうな問題
    • 「自分の行動が何によって強化されているのか」はどこまで把握できるだろうか。例えば、パチンコに夢中になっている人は、おそらく変時隔スケジュールにより強化されているだろうということには気づくが、具体的な出玉のカラクリまでは把握できない。またショッピング(購買行動)においても、購入者は、商品の宣伝戦略に熟知しているわけではなく、むしろその戦略に騙されて買っていることが少なくない。
    • ルール支配行動における動機づけオーグメンタル(motivative augmentals)とトラッキング(tracking)の見極め【2日目の討論】