じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
昨日の日記に、みまさかノスタルジー号が法界院踏切を通過する写真を掲載したが、日曜日の朝、三野公園近くを散歩中に再びその姿を目撃することができた。 |
【思ったこと】 160417(日)トールネケ『関係フレーム理論(RFT)をまなぶ』(1)radicalとはどういう意味か 大学院の授業の教材として、 トールネケ[著]山本淳一[監修]武藤崇・熊野宏昭[監訳] (2013)『関係フレーム理論(RFT)をまなぶ 言語行動理論・ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)入門』 を使わせていただいている。この本は、その入門編にあたる、 ランメロ・トールネケ[著]松見淳子[監修]武藤崇・米山直樹[監訳](2009).『臨床行動分析のABC』 とともにいずれも行動分析学の流れをくむ本ではあるが、
杉山尚子・島宗理・佐藤方哉・マロツト・マロット(1998).『行動分析学入門』.産業図書. などとはかなり異なった内容となっている。また一部、訳語の不一致もあるため、授業で種々の関連書を紹介するにあたっては、少々、補足が必要であるように思えた。 私の授業で補足させていただいた点について、備忘録を兼ねて書き留めておくことにしたい。 さて本書の冒頭では、いきなり徹底的行動主義と機能的文脈主義の関係が論じられている。トールネケは、「機能的文脈主義」という言葉を使うことで、
以上のように,機能的文脈主義という用語のメリットを述べてきたが,私はあえて「徹底的行動主義」という用語を使いたい。それというのも,この用語が,このような背景を生き抜いて,Skinner の足跡をたどる研究者たちの間で広く受け入れられでいるからである。この用語は言葉としては正しい。そして,本書が基礎を置く立場の重要な要素のいくつかを浮き彫りにするのである。【翻訳書12頁】として、あえて「徹底的行動主義」を使い続けるという立場をとっている。 ちなみに、訳注にある通り、ここでいう「徹底的」は佐藤方哉先生の訳であり元の英語は「radical」となっている。日本では、この訳語はほぼ定着していると思われるが、まことに残念ながら、認知心理学者など他領域の心理学者のあいだでは「徹底的行動主義」と方法論的行動主義の違いを全く理解しておられない方も少なくない。なかには、認知主義をテッテイテキに攻撃する人たちが徹底的行動主義者であると誤解・曲解している人たちもいるようである。なお、翻訳書14頁にも書かれているように、ここでいう「徹底的(radical)」とは、“extreme(極端,過激,急進的な)”という意味ではなく,“consistent(首尾一貫して)”ということを意味している。 念のため、ランダムハウス英語辞典で検索したところ、「radical」は語源としてはラテン語の「根を持っている」に通じており、 【1】{主に限定的}根元的な,根底の;基礎的な,根本的な:という意味や用例が紹介されており【一部省略】、日本語で使われる「ラディカル=急進的」とはかなり異なっていることが分かる。同じくランダムハウス英語辞典では、 radical:事の根底まで突き詰める意を強調. そのためしばしば度を過ごした徹底さを暗示する. 政治的には左翼・右翼いずれにも用いる.として、radicalとextremeの違いも説明されていた。「徹底的行動主義」の代わりに「根底的行動主義」という訳もアリだったかもしれない。 次回に続く。 |