じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
生協食堂で、創作どんぶりの人気投票が行われていた。現時点では、半熟豚キムチ丼がトップ、ネギ塩豚丼、半熟卵のロコモコ丼、ヘルシーマッスル丼が2位を争っているようだ。私自身は、脂っこい物を避けているため、この種の丼物を注文することは殆ど無い。 候補の中に「家系丼」というのがあるが、なぜそう呼ぶのだろうか。家系ラーメンと同じ具がのっているという意味かもしれないが、「いえけい」ではなく「KAKEI」というローマ字表記になっている。 |
【思ったこと】 160606(月)トールネケ『関係フレーム理論(RFT)をまなぶ』(39)派生的関係反応(11)刺激機能とレスポンデント学習およびオペラント学習による変化(3) 昨日の続き。 原書70頁(翻訳書98頁)以降では、刺激機能を変容させる仕組みとしてまず、レスポンデント条件づけとオペラント条件づけの原理が挙げられている。これらの条件づけではいずれも、出来事が時間と空間の中で近接していることが,学習が成立するために重要であると論じられている。 Clearly, proximity of events in time and space is crucial to learning for both operant and respondent conditioning. Another way of putting this is that in both types of learning, direct relations between stimuli play a crucial role in what stimulus functions are established. 【原書71頁】ここで、レスポンデント条件づけとオペラント条件づけを「刺激機能の変容」だけで説明できるのかどうか留意する必要がある。オペラント条件づけは言うまでもなく、行動随伴性(あるいは「三項随伴性」)を基本原理としており、その中心はオペラント行動にある。しかしながら、「オペラント行動が強化されて高頻度で出現している時、「オペラント行動が強化される機能を獲得した」というような言い方はしない。またレスポンデント条件づけは、ふつう、「無条件刺激と対提示されることによって、中性刺激が条件反応を誘発する機能を獲得した」というように表現できるが、中性刺激と無条件刺激を対提示した時には定義上、無条件反応も起こっているはずである【←無条件刺激というのは定義上、無条件反応を誘発する刺激であり、無条件刺激が誘発されなければもはや無条件刺激とは言えない】。よって、レスポンデント条件づけは「中性刺激と無条件反応を時間的に近接させることで、中性刺激が条件反応を誘発する機能を獲得するようになる」条件づけであると考えることもできる。【もちろん、何が操作可能かということを考えた場合は、レスポンデント条件づけで操作できるのは、あくまで刺激と刺激の対提示であって、刺激と無条件反応の時間的近接は、対提示の結果として生じた現象であるが。】 オペラント条件づけの基本原理とされる随伴性概念については、このほかにも種々の議論がある。とりわけ興味深いのは、 久保田新・鎌倉やよい・岡西哲夫・桐谷佳恵・江藤真紀 (2003). 臨床行動心理学の基礎―医と心を考える 人はなぜ心を求めるか. 丸善出版. の中にある久保田氏の「第7章 行動のプロセス」という論考であるが、話が脱線してしまうので別の機会に言及させていただくこととしたい。 もとの話題の戻るが、とにかく、レスポンデント条件づけやオペラント条件づけを通じて、刺激機能が変容することは間違いない。そのさいには時間的近接が必要条件となっていることも確かである。なお上掲引用箇所では「空間的近接」も挙げられていたが、具体的にどのような場面で必要条件になるのかどうかはイマイチ分からないところがあった。パヴロフの条件づけで言えば、条件刺激となる音が、イヌの目の前で発せられるメトロノームの音であっても、室内に流れる音楽であっても、さらには遠くの方から聞こえてくるチャイムの音であったとしても、それほど違いはないように思われる。 なおこの節では、出来事や刺激は物理的な特性によっても関係づけられると論じられている。具体的には刺激般化がこれに相当する。ある中性刺激が条件刺激としての機能を獲得した場合、その中性刺激と物理的に類似した刺激は、一定程度、条件刺激としての機能を獲得するようになる。但し、もとの刺激への強化と類似刺激への無強化を繰り返せば、類似刺激への般化は起こりにくくなっていく。このプロセスが弁別学習ということになる。 次回に続く。 |