じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 夕食後の散歩時に見た某幼稚園の庭。目をこらすと、月齢2.3の月と、アンパンマン、バイキンマンが潜んでいることに気づく。

2016年06月08日(水)


【思ったこと】
160608(水)トールネケ『関係フレーム理論(RFT)をまなぶ』(41)派生的関係反応(13)派生的刺激反応と刺激機能の変容(2)

 昨日の日記で、

Dougher, M. J., Augustson, E. M., Markham, M. R., Greenway, D. E., & Wulfert,E. (1994). The transfer of respondent eliciting and extinction functions through stimulus equivalence classes. Journal of the Experimental Analysis of Behavior, 62, 331-351. 【こちらから無料で閲覧可能】

の研究に言及した。本書ではその内容が要約紹介しかされていないこと、またこの連載の目的が大学院講義の補助解説であることに鑑み、少し長くなるが、オリジナルの論文の内容について詳しく紹介しておくことにしたい。

 まず実験1では、8名の実験協力者を対象として、
  • Phase 1: Stimulus Equivalence Training and Testing
  • Phase 2: Classical Conditioning
  • Phase 3: Test for Transfer
という3段階から構成される実験が行われた。使用された刺激は、昨日も述べた12種類の幾何学図形(正八角形、下向きの正三角形、手裏剣型など)から選ばれたものであり、また第二段階では無条件刺激として軽い電気ショックが提示された。

 まず第一段階では、見本合わせ課題(match(ing) to sample procedures、正確には異質見本合わせ heterogeneous MTS)による刺激等価性形成訓練が行われた。12種類の図形刺激が4種類ずつ3グループに分けられ、このうちの8種類の刺激(←8種類の図形刺激に便宜上、A1、 B1、 C1といったラベルをつけている)を2つのグループに分けて見本合わせ訓練が行われた。。
  • Class 1= A1, B1, C1, D1
  • Class 2= A2, B2, C2, D2
12種類のうち残りの4種類(便宜上、A3、 B3、C3、D3というラベルをつける)は見本合わせ課題で誤答となる選択肢であり、いかなる刺激等価性も形成されないように提示された。

 この訓練では、コンピュータのモニター画面上部に見本となる刺激が提示され、2秒後に3つの比較刺激が、画面下部の左、中、右の位置(そのつどランダムに入れ替え)に提示される。実験協力者は提示された比較刺激のうちの1つをキー押しにより選択する。そのあと正解・不正解が表示され、次の試行に移る。訓練が繰り返されたあとのテスト段階(刺激等価性の確認段階)では、正解・不正解のフィードバックはない。また実験課題に習熟することは、後に行われる実験の際に重要な手がかりになる(←ウソ)とも教示されていた。

 訓練時、見本刺激として提示されたのはA1またはA2であり、正解とされた選択肢は同じグループ(Class1、Class2のいずれか)に属するB、C、Dのいずれかの刺激である。例えば、見本刺激としてA1が提示され、選択肢としてB1、B3、B3が提示された時はB1が正解となる。同じく、見本刺激としてA2が提示され、選択肢としてD2、D1、D3が提示された時はD21が正解となる。

 引き続き行われたテストでは、今度は、AではなくB1、C1、D1、B2、C2、D2のいずれかが見本刺激となり、選択肢のほうではA1、A2、A3がランダムな位置で提示される。もし、B1、C1、D1が提示された時にA1が選ばれやすくなり、かつ、B2、C2、D2が提示された時にA2が選ばれやすくなったとすれば、対称律が成立したと言える。さらに、等価律の成立を確認するため、
  • B1 C1 C2 C3
  • B1 D1 D2 D3
  • C1 B1 B2 D3
  • C1 D1 D2 D3
  • D1 B1 B2 B3
  • D1 C1 C2 C3
  • B2 C2 C1 C3
  • B2 D2 D1 D3
  • C2 B2 B1 B3
  • C2 D2 D1 D3
  • D2 B2 B1 B3
  • D2 C2 C1 C3
というテストが行われた【上記で、左端が見本刺激、残りの3つが選択肢】。上記はいずれも、一度も訓練されたことのない「見本刺激→選択」であり、Xnという見本刺激に対して、同じnの値のYnが選択されやすくなっていれば、刺激等価性クラスが成立したと言うことができる。多少バラツキがあるが8人全員がClass1、Class2それぞれに属する刺激の間で刺激等価性クラスの成立を証拠づける結果を示した。

以上が第一段階。ここまでの結果は従前の刺激等価性クラスに関する実験結果と同様であり特に目新しい点はない。興味深いのは第二段階以降にある。

次回に続く。