じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 161124(木)関係反応についての講義メモ(18)見本合わせ課題とタクト(3) 昨日の引用部分に続いて、佐藤(2007)は以下のように述べている。 ...この点からみて、オペランダムは、弁別刺激ではないと通常みなされているが(e.g. 杉山・島宗・佐藤・マロット・マロット, 1998)、同時弁別におけるSDとみなすべきではなかろうか。ハトのキイつつきのシェイピングは、同時弁別訓練も含まれているとみることができるのである。シェイピングされた後のキイつつきオペラントは弁別オペラントではない。そうであるならば、同時弁別における正反応も弁別オペラントではないであろう。同時弁別は、三項随伴性により制御されているのではなく、二項随伴性により制御されている。すなわち、同時弁別は刺激弁別ではなく反応分化もしくはシェイピングとみるべきなのである。青いキイをつつく反応が強化され赤いキイをつつく反応が強化されない同時弁別は、青いキイをつつく反応が分化強化されシェイピングされたのである。上掲の部分は少々難解である。 まずは、青や赤のキーをつつくという同時弁別課題において、キー自体はオペランダムであるが、色つきのキーはSDになっていると指摘されている。また、キー自体は周囲の壁や給餌口などとは違う場所にある。さまざまな場所をつつくことのできるハトにとっては、キーをつつけば強化され、キー以外はつついても強化されないという点で、キーという視覚刺激も1つのSDになっていると言える。ここでシェイピングに言及されているのは、まさに、ハトを初めてスキナーボックスに入れた段階では、キーという視覚刺激がSDになっている例と言えよう。 しかしそのあとの核心部分、「シェイピングされた後のキイつつきオペラントは弁別オペラントではない。そうであるならば、同時弁別における正反応も弁別オペラントではないであろう。同時弁別は、三項随伴性により制御されているのではなく、二項随伴性により制御されている。」については熟考する必要がある。「青いキイをつつく反応」とか「赤いキイをつつく反応」というのを1つの精緻化された反応と見るのか、それともキーつつきという反応が独立していて、青や赤という弁別刺激のもとでそれらが刺激制御されるのかという点については見方が分かれるのではないかと思う。 次回に続く。 | tr>