じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】170327(月)徹底的行動主義の呼称の起源(8) 昨日も述べたように、私が調べた限りでは、刊行された書籍の中で「徹底的」が初めて登場したのは、1983年頃であると推定される。【現在、確認作業継続中】 じっさい、佐藤方哉先生の名著『行動理論への招待』(1976)には「徹底的行動主義」という言葉は一度も出てこない。代わりに、当時よく使われていた「新行動主義」というタイトルのもとに、ガスリー、トールマン、ハルとスキナーが比較されていた。 その後、佐藤方哉先生は、1985年に、 佐藤方哉(1985). 行動心理学は徹底的行動主義に徹底している. 理想, 625,124-135. という論文を刊行されている。論文といっても、通常の学術雑誌のスタイルとは異なり、『理想』編集者H氏が執筆依頼にやってきたという想定のもとで、徹底的行動主義が紹介されている。この『理想』という雑誌は、ウィキペディアの該当項目では「1927年から発刊されている哲学・思想系の雑誌で、日本におけるこの分野の代表的な雑誌の一つとして知られている。」と記されているが、心理学の専門誌ではないため、他領域の心理学者の目に触れることは無かったと思われる。日本では、 武藤崇 (2001). 行動分析学と「質的分析」(現状の課題).立命館大学人間科学研究, 2, 33一42. で引用されているほか、私自身の 長谷川(1993).スキナー以後の行動分析学(2):心理学の入門段階で生じる行動分析学への誤解.岡山大学文学部紀要, 19, 45-58. でもちゃんと引用している。この時のコピーは、佐藤先生から直接送っていただいたと記憶している。 次回に続く。 |