じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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新年度が始まり、公式サイトの背景も白木蓮・ミモザから桜模様に切り替えた。この公式サイトは来年3月31日に閉鎖されるので、桜バージョンは今回が最後となる。
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【思ったこと】170410(月)関係フレーム理論をめぐる議論(7) 4月9日に続いて、 木下・大月(2011、40頁)[※]に挙げられている例について考えてみる。【長谷川により改変あり】 1-3.刺激機能の変換と文脈制御この例は、文脈制御の説明のために挙げられているが、ルール支配行動における動機づけオーギュメンタル(オーグメンタル)の例としても利用できる。文脈制御の例としては上記の通りであると思うが、私が若干疑問に思うのは、「AとXが等価な関係によって関係フレームづけられているから」という解釈である。ビールの写真が実際のビールと等価であるかどうかという以前に、ビールの写真はレスポンデント条件づけにおける条件刺激として、また、オペラント条件づけにおける弁別刺激としても機能しているはずである。 このうち、ビールの写真の弁別刺激としての機能は、ビールを入手する手がかりとして利用される。いっぽう条件刺激としての機能は、写真を見ただけで清涼感に関係する条件反応や、喉のあたりの爽快な気分に関連した条件反応を誘発するであろう。これらが動機づけ要因として機能している可能性をまず抑える必要があるように思う。 もちろん、ビールの広告のなかの言語刺激や清涼なムードをつくりだすような写真もあり、これらは関係フレームづけと言えるかもしれない。しかし、「美味しそうに冷え切ったビールの写真」に限って言えば、これはあくまで、「美味しそうに冷え切ったビールの実物」の条件刺激であると考えるべきであろう。 [※]木下奈緒子・大月友 (2011). 関係フレーム理論―RFTとACTの「関係フレームづけ」を目指して. 武藤崇(編) (2011). ACTハンドブック 臨床行動分析によるマインドフルなアプローチ. 星和書店.pp.37-52. 次回に続く。 |