じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 岡大西門・西側花壇の現況。2017年度中にこの場所で建設工事が始まると聞いているが、いまのところ目立った動きは無い。花壇では、この場所での最強の園芸植物となるハクチョウソウとテンニンギクは繁茂している。


2017年6月27日(火)


【思ったこと】
170627(火)ボーム『行動主義を理解する』(42)目的と強化(4)

 6月26日に続いて、

ボーム(著)森山哲美(訳)(2016).『行動主義を理解する―行動・文化・進化―』 二瓶社.

の話題。

 本書の118頁以降では、系統発生における機能的単位は種である(自然環境のもとで繁殖的に種がどう機能しているか)と論じられている。種は、形態的な類似性ではなく、自然環境下で交配するかどうかにかかっている。いっぽう、オペラント行動(活動)における機能的単位は、「環境に対して同じ効果をもたらす行為のすべての集団」として定義されている。機能的定義の例としては、他書でもしばしば登場するレバー押しが挙げられていた。
レバー押しの中には、レバーを押すことで生じる効果を持つすべての行為が含まれる。ラットがレバーを左足で押そうが、右足で押そうが、鼻で押そうが、あるいは口で押そうが、それらに違いはない。
 但し、上記は、足、鼻、口で押すという行動がすべて同程度に強化されることを意味しているわけではない。レバーをできるだけ速く、かつ、できるだけ少ないエネルギーで押すということになると、ラットの身体的特性からみて、前足で押すという行動が最も強化されることは確かである。

 本書のほうでは続いて「機能的単位で行動を語るということは、それが実際にできるということではなく、機能的単位で行動を語らなければならないということである。」と述べられている。これは、物理的・形態的に100%同一であるような反応は、たった一度しか起こらないという意味でもある。この基準のもとでは、行動の再現可能性さえ疑わしくなる。機能的単位で行動を語ることで、この問題は解消する。

 本書120頁以下では、「活動をその構造で定義することはできない。」ということがさらに強調されている。行動は、それがどのように見えるのかではなく、何をするのかによって定義されなければならない。この場合の「何をする」が機能的定義のカギとなる。餌で強化されているレバー押しと、水で強化されているレバー押しは、機能的には異なる活動として定義される。それらは「餌のためのレバー押し」、「水のためのレバー押し」と言い換えることもできるが、「ための」というのはあくまで、「餌の出現で強化されてきたレバー押し」、「水の出現で強化されてきたレバー押し」という意味であって、将来の結果を期待した行動というわけではない。妻に財布を渡すという活動と路上強盗に財布を渡すという活動は異なる。路上強盗に財布を渡すという行動は、過去の経験の中で、脅迫を受けた時に相手の行動に応じることで脅迫が除去されたという、負の強化が何度か行われ、強盗出現という類似文脈の中で、同じ行動が起こったというように説明できる。【以上は、長谷川が理解した範囲で長谷川の言葉に置き換えたものであり、原文の引用ではない。念のため、。】

次回に続く