じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 170706(木)ボーム『行動主義を理解する』(46)目的と強化(8) 7月05日に続いて、 ボーム(著)森山哲美(訳)(2016).『行動主義を理解する―行動・文化・進化―』 二瓶社. の話題。 「目的的機械」のところでは、暖房機器のサーモスタットに加えて、チェスをするコンピュータの例が挙げられていた。ボームの第2版が執筆されたのは2005年であり、当時のコンピュータプログラムは、おそらく、駒の動かし方について一定の基準を設けて選択した上で場合をつくし、それぞれの展開の中で最も評価の高い手を選ぶというアルゴリズムに基づいていたと推測される。しかし、周知のように、その後、ディープ・ラーニングの研究が発展し、囲碁や将棋で、最強のプロ棋士に圧勝するような人工知能が開発された。専門的なことは分からないが、そのしくみは、人間がオペラント条件づけを通じて複雑な問題解決能力を身につけていくプロセスと酷似しているように思われる。 もっとも、英語第3版においても、この部分の記述は変更されておらず、次のように締めくくられていた。 ...プログラムがどれほど複雑であっても、それぞれの動作は、現在の環境と強化(チェスの場合、勝つこと)の履歴に対する反応にすぎない。この考え方はさらに次節の「結果による選択(Selection by Consequences)」につながっている。 次回に続く。 |