じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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毎週火曜日に、モーサテで、ビジネス書最新ランキング(紀伊國屋書店調べ)を発表しているが、7月下旬から、『嫌われる勇気』がまたまた5位以内にランクインしてきた。浮沈の激しいビジネス書出版界で、何年にもわたって上位をキープしていることは驚きである。もっともこれだけ本が売れているにもかかわらず、アドラー心理学の実践者はそれほど増えていないようにも思われる。
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【思ったこと】 170808(火)行動分析学の用語統一議論(9)「I」から「P」の項目 昨日の続き。こちらのリストの「I」から「M」のところには、 intraverbal イントラバーバル mand マンド が挙げられているが、「エコーイック」同様、言語行動にかかわるスキナーの造語はカタカナ語のままのほうが誤解されなくて済むと思う。 「M」のところではさらに、 matching law 「マッチング法則」「対応法則」 がある。matchingは私の卒論テーマでもあり馴染み深いが、私が卒論を書いた頃は定訳がなく、カタカナでそのまま「マッチング」としていた。その後、由来は不明だが「対応法則」という訳語が使われ出して、現在ではほぼ定着しているという印象を受ける。 「N」のところでは、 negative punishment 除去型弱化 negative reinforcement 除去型強化 が挙げられていた。従来は「positive=正の」、「negative=負の」と訳されてきたが、英語のもとの意味は「positive=加算型」、「negative=減算型」であるゆえ、上記は妥当な訳語と言える。もっとも、「除去」というと、第三者が人為的に除去したという印象がある。自然におこる出来事を含める場合は「消失」もしくは「減算」としたほうが妥当であるかもしれない。これらは、次の「P」のところにある、 positive punishment 提示型弱化 positive reinforcement 提示型強化 についても言える。「提示型」というと人為的な提示を連想してしまうので、「出現型」もしくは「加算型」としたほうがよいかもしれない。 なお、「pairing=対提示」の項目を含めて「提示」という言葉が使用されているが、行動分析学の論文や解説書ではしばしば「呈示」という漢字が使われることがある。私自身も、その時の引用文献の表記に影響されて、「提示」を使ったり「呈示」を使ったり一貫していないが、そろそろ統一してもよいような気がする。『新明解』では 【呈示】というように区別されており、実験手続の表記の場合は「呈示」のほうが妥当であるように思われる。 次回に続く。 |